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ちょっと変わったお姉さんと少年のお話
ちょっと変わったお姉さんが少年と旅行に行くお話
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な事で驚いていたらいちいちきりがないぞ、少年」
「はぁ……」


……。
 新幹線のグリーン車。
 ふかふかの大きなシートに座り、すこし戸惑い気味だった少年が心を落ち着かせるべく車窓の景色をぼんやり眺めていると、女が手帳を見ながら喋り出した。

「向こうに着いたら、まずは博物館に向かう」
「はい」
「次に、町役場と老舗の建築会社に行く」
「……はい?」
「最後は元は豪商である郷土資料館の土庫を見せてもらう。土蔵の所属品を見て、子孫である館長の話を聞いて、今日はそれで終わりだ。明日は図書館と寺社巡り、あさっては古老への聞き取りだな」
「あ、あの……」
「旅行といっても君と遊び回って過ごす3日間ではない。メインは研究調査だ」
「はぁ。……あ、あの、えーと、ちょっといいですか?」
「何かね?」

窓から振り返り女の顔を見た少年が、眼鏡をかけていない彼女の強い眼光を直接浴びて、一瞬鳥肌を立てる。

「あ、あの、その、その」
「さっさと言いたまえ」
「とっ、図書館や博物館はともかく、会社や町役場って、普通は祝日って休みでは……」
「そこは話を付けてある」
「話?」
「まぁいい、これを見ておけ」

 そう言うと、彼女は手帳を少年に手渡す。
 そこには、3日間に回る場所と時刻が、びっしりと書いてあった。
「こ、これ全部回るんですか!?」
「そうだ」
「どうやって、こんなにいっぱい」
「3日間タクシーを借り切ってあるから心配するな」
「は?」

 少年が目を丸くする。

「た、タク……」
「金の心配は要らんぞ、全部私が出す」
「い、いったいいくらになるんです?」
「心配するなと言ったよな、少年」
「……ご、ごめんなさい」

 彼女がむっとした顔になったのを見て、少年が首をすくめる。

「で、でもこの行き先……」

 彼女の手帳には、町役場や会社や個人宅など、連休に回れない、もしくは回るにふさわしくない場所がいくつも記されている。

「連休なのに、お役所とか営業してるんですか?」
「話は付けてある、と言っただろう」
「これ全部に、ですか?」
「当然だ」
「はぁ……」

 少年が手帳の隅から隅まで見回し、行先とスケジュールと時間を見ていくと――。ふと、あることに気付いた。

「あれ? このスケジュール、ぎっしり詰まってるように見えて……、朝の出発が遅くて、夕方のチェックインが早いですね」
「旅館に長くいられるようにな」
「?」

 女が口に手を添えて、少年に耳を近づけるように促す。
 その時ちょうど新幹線がすれ違い、少しだけ車内の騒音が大きくなった。

「(君と長い夜を楽しめるようにしてあるんだ。旅館に着いて驚くなよ、少年)」
「!」

 少年の
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