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ちょっと変わったお姉さんと少年のお話
ちょっと変わったお姉さんが少年と旅行に行くお話
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年、少年」
「(やめて、やだ、やだぁっ)」
「おい!? 聞いてるのか! 少年!!」
「……!!!!!!」

 肩を掴まれ、現実の世界に戻ってきた少年が、はっと我に返る。
 目の前に、長い黒髪の見知らぬ女性がいて、肩を揺さぶっている。

「あ、あ、あの?」
「すまんな、ちょっと遅れた。……急ぐぞ!」
「え、あ、ちょっ」
「まだ新幹線に間に合うだろう!? ほら、切符だ!」
「は、はい!」

 女性から切符を受け取り、急いでホームに向かう。
 ホームに上がると、ちょうど電車が滑り込んでくるところだった。

「あ、あの……? あなたは、ゆーさん、ですか?」
「そうだが何か?」
「いや、その、あの、えーと」
「何か疑問でもあるのか」
「……」

少年は頬を赤らめ、顔を下に向けて手を組んでもじもじとする。

「その恰好」
「何だ、文句あるか」
「……最初、誰か分かりませんでした」
「ふん、君は私を何だと思ってるんだ、言ってみろ」

 少年が顔を上げ、ゆっくりと視線を動かし、女の全身を上から下まで観察する。

 薄灰色の中折れ帽子からこぼれる艶めいたさらさらの黒髪と、白い肌を彩るうっすらとしたお化粧。
 コンタクトレンズを着けているのか眼鏡をかけておらず、わずかに青色を帯びた漆黒に近い濃紺の瞳が、電車の窓から射し込む陽を浴びてきらきら輝く。
 純白のレースのブラウスに、胸元にさりげなく輝く細い金細工のネックレス。
 仕立てのいい紺色のジャケットを羽織り、下はベージュのロングスカート。
 玄関の隅で埃を被っていた本革のショートブーツも綺麗に手入れされ、ピカピカだ。

 街ですれ違ったら、一度振り返ってしまうかもしれない。
 背の高い彼女なら――モデル?と勘違いされてもおかしくない。
 
「綺麗な……お姉様、です」
「よろしい」
「びっくりしました。あなただとは、一瞬、気付きませんでした」
「むむ、失礼な」

 彼女の表情が、優し気な微笑みを浮かべたり、眉をひそめたり、豊かに変化する。

「ところで、向こうについたらまずどこへ行くんですか?」
「それは後から説明する、少年、これを持ってくれ」

 そういうなり、彼女はキャリーバッグを少年に持たせる。

「あ、結構重たい……何が入ってるんです?」
「それも後で説明する」

 電車は終点に着き、2人は新幹線のホームに向かう。
 すれ違う人の視線が、自分の斜め上――隣を歩く彼女に向かっているような気がして、少年がちょっと気まずそうな顔をし、顔を俯かせる。

 ホームにたどり着いた少年が足元のマークを見て、声を上げた。

「あ! あれ? ここ、グリーン車!?」
「そうだが?」
「あの、その、お金……」
「こん
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