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体育倉庫の飛び箱の中に隠れて
体育倉庫の飛び箱の中に隠れて
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[1] 最後
「お前、セックスやったことあるか?」
「せっくす!?」

 放課後家に帰って部屋でゲームしてると、いっしょについてきた悪友が唐突に話しかけてきた。

「な、ないよ! 僕、まだ……」
「でもさ、クラスでも何人かヤッてんだぜ、男子も女子も」
「そういうお前はどうなんだよ」
「ん? んー、まだ勉強中」
「勉強? エロ動画とかみてんの?」
「そんなんもう飽きたよ、今は生だ生」
「生!?」
「裏体育倉庫だよ、裏の体育倉庫の生中継〜」
「裏!?」

 ――悪友いわく。
 学校の体育倉庫って、運動場の隅っこに有るのと。
 もう1個、校舎の裏にもあるんだそうだ。
 僕は知らなかったけど、裏の体育倉庫の方はあまり人気(ひとけ)が無くて、そこで……。
 
「ヤってんだってさ、先生と女子が」
「マジ!?」
「床にせーし落ちてたりするらしいぜ」

 男子は成長すると精通ってのが来て、おちんちんから精子が出るって、授業で聞いたことがある。
 その精子が女の子の体に入ると、赤ちゃんができるってのも聞いた。
 でも……僕はまだ精通が来てないから、セックスできないんだ。

「あそこにでっけー跳び箱があんだよ。放課後の掃除の時間にそこに隠れてろ。
 そーすっと、せんせーと女子がやって来て、パンツ脱いで……セックスすんだってよ」

 真っ赤になった顔をこいつにみられないよう、僕は顔をそらす。

「誰と、誰がしてんの?」
「ヒゲダルマっていんだろ、体育の」
「うん」
「あいつと女子が、何人か」
「一人じゃないの?」
「あのセクハラダルマ、女子といっぱいヤッてるらしーぜ」
「……!」


 ――翌日の放課後。
 言われた通り、僕は裏の体育倉庫の跳び箱の中にいた。
 うだるような夏の暑さの中、使い古しのマットとかボールとかのすえた匂いが漂う体育倉庫。
 僕はまず裏体育倉庫の床に精子が落ちてないか探してみた。……けど、見つからなかった。

(でも、見つからないってことは、まだセックスやってない)

 跳び箱の上段をずらして、その中に入ってじっと待った。
 たくさん汗をかきながら息を殺し、跳び箱の隙間から外をうかがう。

 がらがらっ。
 扉が開いた。
「マットが雑に置いてある、きちんとしないとな」
「はい」
「俺も手伝うぞ」
「はい」


 体育倉庫の扉が閉まり……内側から鍵がかけられた。
 とたんに、ヒゲダルマの声がいやらしい声に変わる。

「へへ、中から鍵がかけられるようにしたのは俺だ、頭いいだろぉ?」
「はい、先生」
「ま、やることやってから、ヤろうな?」
「はい」

(え? え? ええっ!?)
 僕は一瞬叫びそうになって口を押える。
 後ずさりして跳び箱に
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