346部分:白銀の月その十一
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白銀の月その十一
「それがどうかしたの?」
「何かその技ってどう見ても」
「殺人拳の技だよな」
「なあ」
男組はその顔を完全に青くさせていた。
「急所攻撃ばっかりじゃねえかよ」
「っていうか殺す技しかねえのかよ」
「だからあくまでいざって時だけよ」
本人の言葉はこうであった。
「普段使ったりしないわよ。それでね」
「それで?」
「使う相手はあくまで悪い奴よ」
ここはかなり強調するのだった。
「絶対にね」
「そうであってくれよ」
「俺達に使うんじゃねえぞ」
男組は真顔で彼女に告げる。
「目潰しとかってよ」
「何なんだよ」
「まあ気にしないで」
もういつもの能天気な静華に戻っていた。
「あんた達には使ったりしないから」
「当たり前だ」
「殺す気かよ」
「最悪みぞおちで許してあげるから」
しかし急所は狙うのであった。
「普通はね。そこをやったら一撃だから」
「おい、やっぱり狙うのかよ」
「みぞおちかよ」
「他にも地獄突きなんてあるけれど」
楽しそうな笑みで手刀を前に出してみせる。
「喉をね。こうぶすってね」
「ああ、ブッチャーさんよね」
咲はそれですぐにわかったようである。
「あの人の技よね」
「そうよ、それよ」
「咲実はあの人好きなのよ」
何気に実にいい趣味の咲であった。レスラーの趣味は。
「あの人本当は凄くいい人なのよね」
「まああの人はな」
「確かにいい人さ、それも凄くな」
男組もブッチャーについては認める。実際にアドタブラ=ブッチャーは実は心優しい人格者である。悪役であるがその心は美しいのである。
「他には上田馬之介さんとか好きよ」
「御前服はともかく人を見る目はあるよな」
「そうよね」
男組だけでなく女組も認めることであった。
「それで案外」
「いい趣味してるじゃない」
「だから慶彦君もゲットしたのよ」
そしてここで自分の彼氏のことを言うのだった。
「あんないい人そうはいないわよ」
「っていうとその山月堂のぼんぼんってよ」
「やっぱりでかい身体で悪そうな身体してんのか?」
「始終竹刀とかバケツとか振り回してハタリハタマタって叫んでよ」
タイガージェットシンまで入っていた。
「そんな御仁なのか?やっぱり」
「何かあまりお付き合いしたくないけれど」
「ああ、それは大丈夫だよ」
「そんな人じゃないから」
五人組のメンバーより先に佐々と明日夢が皆に述べてきた。
「あの人はスマートで背が高くてな」
「結構男前で穏やかな人よ」
「って全然悪役じゃないみたいだけれど」
茜はそこまで聞いて首を捻った。
「何か典型的なお坊ちゃんみたいだけれど」
「それが違うのよ」
しかし咲はこう主張する。
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