第二章
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この依頼を受けると答えた、かくして二人はその依頼主である闘技場二百試合勝ち抜きの話を聞くことにした。
依頼主はラスベガスの住宅街にいた、そこのある大きな家に行くと大柄な五十代終わり位の鹿人がいて二人にまずは名乗った。
「マイク=ファアマンというんだ」
「ああ、あんた今もここにおったな」
その名を聞いてだった、スタインベックはすぐに頷いた。
「ラスベガスに」
「わしのことを知っているのか」
「ああ、あんたは有名な格闘家でラスベガスの闘技場で無敵やったからな」
「昔の話だがな」
鹿人の格闘家はスタインベックに笑って返した、全てが大造りの家の中でラフなシャツとジーンズという格好だ。物腰は悠々自適といったものだ。
「今は引退して格闘ジムのオーナーさ」
「そうして暮らしてるやな」
「結構儲かってるし軍隊や警察にも格闘を教えてるしな」
「そやったな」
スタインベックはこのことは統治する者として知っている、だが彼を直接その目で見たことはなくラスベガスに今も住んでいることも知らなかったのでこう返したのだ。
「それで収入にはやな」
「今も困ってないさ、現役時代みたいに荒稼ぎはしてないがな」
「生活する分はちゃんとあるな」
「蓄えだってあるしな」
「それで何でまた闘技場に出るねん」
スタインベックは話の核心をここで指摘した。
「何でや」
「やっぱりそのこと聞くよな」
「当然な、何でや」
ホイットマンと共に座っているソファーから自分の向かい側に座っている格闘家に尋ねた。
「今回現役復帰するねん」
「正確に言うと復帰じゃないんだよ」
「一戦だけか」
「ああ、その二百戦勝ち抜きだけのな」
あくまで今回だけのことだとだ、格闘家はスタインベックに笑って答えた。
「それの報酬が半端じゃなくてな」
「それでか」
「受けるんだよ」
「その報酬受ける理由は何や」
「ああ、実は友達が店やっててな」
「店潰して借金か」
「いや、店というか友達が経営しているビル自体が火事になったんだよ」
「ああ、ビルに入っている店が全部お友達が経営してたか」
「どの店もサービスや味がよくて好評だったのにな」
それがビル単位でというのだ。
「ビル単位で全部な」
「焼けてか」
「火事を起こす元凶の派手な喧嘩やったギャングは組織ごと潰されたけれどな」
「火事起こすとか火使ったな」
「銃撃だけじゃなくてな」
「アホなギャング共やな」
「酔って組織単位で大喧嘩だぜ、それで元凶のギャング共は持っていた金全部没収で友達の保証にしたけどな」
「それでも足りんか」
「保険も降りてもな」
ビルの火災保険がというのだ。
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