337部分:白銀の月その二
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白銀の月その二
「小学生は」
「中学生でも考えてみれば怖いな」
「奈々瀬もう絶対前にも寄らないし」
ここでも奈々瀬の怖がりのことが話されるのだった。
「奈々瀬ってこういうの絶対駄目だから」
「お化け屋敷とか苦手なのか、あいつ」
「お化け屋敷だけじゃなくてこういうの全体が」
駄目だというのである。やはり話はクラスの面々がしていたのと同じものになっていた。
「怪談とかね。あと心霊とかも全然」
「怖がりなんだな、あいつ」
「まあ言葉は悪いけれど」
未晴は咄嗟に別の言葉を探したが結局それしかなかった。それ以外に表現すべき言葉が見つからなかったのである。
「そうなるかも」
「あいつらしいな」
そして正道は今度はこう述べた。
「怖がりなのはな」
「そう見えるの?」
「橋口はな」
奈々瀬の名前を出すのだった。
「そう見える、間違いなくな」
「そう、やっぱり」
そして未晴も彼の言葉に頷くのだった。
「奈々瀬は見えるのね、やっぱり」
「ああ。気が弱いのがよくわかるな」
「やっぱりね。前にも言ったけれどいじめられたこともあったし」
またこのことを話すのだった。
「それに喧嘩とかできないし引っ込み思案だし」
「そういうのあるな、本当にな」
「そうなの。だから」
未晴はまた話す。
「奈々瀬のことが少し心配なのよ」
「それはおたくだけじゃないよな」
「そうよ。皆ね」
そしてそれは皆も同じなのだった。未晴達も。
「春華がそれでいじめっ子に向かったこともあったし」
「それも前に話したよな」
「そうでしょ?何かあるとすぐに落ち込んだりするから」
「本当に気が弱いんだな」
「それが心配で」
未晴は実際にその目を沈ませる。どうしてもだった。
「普段は明るい娘なんだけれど」
「気が弱いか」
「幼稚園の頃から。六人で一番」
そうなのだった。
「怖がりだし。それでも何とかやっていってるけれどね」
「もっと強くなって欲しいんだな、橋口に」
「あれでも子供の頃よりずっと気が強くなったのよ」
あえて答えないがそれでもこう言う未晴だった。
「ずっとね」
「ずっとなのか」
「泣き虫だったけれどそれが少しずつ強くなってきてるの」
「少しずつなんだな」
「そう、少しずつ」
こう話す。
「それは皆もだけれど」
「皆っていうと柳本とか伊藤もか」
「そうよ、皆もよ」
今度は咲達のこともなのだった。
「少しずつだけれどね」
「じゃあお化け屋敷もか」
「そうね。奈々瀬最初はお化けって言葉聞くだけで泣き出したのよ」
そこまで怖がりだったのである。子供の頃の奈々瀬は。
「今はそこまでいかないじゃない」
「まあそうだよな。それはな」
「少しずつだけれどね。本当に」
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