第二章
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「他の場所に行った方がいいぞ」
「その方が安全ね」
「絶対にな」
「それじゃあ何処に行こうかしら」
「そうだな、最近日本から来たっていう人がお米を作ってるだろ」
「あの浅いお池の中に稲が沢山生えている場所ね」
「あそこに行ってな」
そうしてというのです。
「お米を手に入れるか?」
「そうするのね」
「あそこには犬もいないし人間もあまり警戒していないしな」
「だったらなのね」
「あそこに行ってお米を拾えそうなら拾うか」
「それじゃあね」
奥さんも頷いてでした、そのうえで。
実際にお二人で水田のところに行きました、するともう水田は稲を全部刈り取ってしまっていて田んぼの中にお水もありません、休ませてある畑みたいになっています。
ご夫婦はその中を歩き回って収穫している際に落ちたかどうも人間から見れば質が悪いせいか捨てられているお米を拾いました、その量に奥さんは驚きました。
「麦よりずっと多いわね」
「うん、お米の量はね」
「こんなに多いとね」
「冬を越せるだけはね」
「集まりそうね」
「わし等どころかだよ」
「他の栗鼠の家族にも教えてあげてね」
「皆で冬眠しよう」
心配なく、というのです。そうしたお話をしてそのうえででした。
二匹でお米をたっぷりと拾ってお家に帰ろうとしましたがふとです。
倉庫の端のゴミから硬くて丸い白いものを見付けてまた二匹でお話しました。
「色や匂いからお米を集めて練ったりしたものだな」
「そうね、焼く前のパンやチーズみたいなものかしらね」
「だったらこれも保存が利くな」
「冬眠の間も食べられそうね」
「じゃあ後でこれ貰いに行くか」
「そうしましょう」
こうして一旦お米をお家に入れてからです、二匹でそのお米を集めて練ったみたいなものもお家に持って帰りました、そうして冬眠の間木の実やお米だけでなくそちらも食べてみますと。
「美味しいな」
「そうね」
「じゃあ今度の冬眠の時はな」
「これも拾いましょう」
こうお話しながら食べるのでした、二匹は冬眠が開けてからもの尻のバウンサーさんにこのお米から作った白い塊がお餅というものだと知りました、そしてそのお餅を来年の冬眠の時も一緒に食べようと笑ってお話するのでした。
カルアシ=チミーの夫婦のお話 完
2019・2・3
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