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ある晴れた日に
333部分:その日からその二十九
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その日からその二十九

「今度は中に入るのか?お化け屋敷のよ」
「ああ、それ今回も止めた方がいいわよ」
 咲がその野茂に対して答えた。
「駄目かよ」
「だってさ。今度も迷路よ」
 ミラーハウスに続いてであった。
「それも結構以上に複雑な」
「迷路好きな遊園地だね、また」
 桐生はそれを聞いてふとした感じで述べた。
「お化け屋敷もそれだなんだ」
「だから余計に怖いんだよね」
「そうなのよね」
 加山と千佳が言い合う。
「あそこって評判なのは」
「で、鉢合わせとかしたらよ」
 咲はさらに皆に話すのだった。
「それこそ洒落にならないわよ。言い逃れできないわよ」
「確かに。そうなったら」
「やっぱり何もかもが終わりよね」
「だからこれ却下ね」 
 咲は中に入るのは駄目と言うのだった。
「これはね。だからまた外で待ちましょう」
「見つからないようにしてだな」
 坪本がしっかりと言った。
「何かモロバレって感じが今までしてるからよ」
「だよなあ、どうもな」
「それはね」
 彼等もある程度以上わかってやっていた。
「まあとにかく行きましょう」
「そうだな」 
 何はともあれ向かうことにした一同だった。だがやはり三人は残っていた。
「悪いわね、二人共」
「いいのよ、それは」
「そうそう、気にしない気にしない」
 明日夢と凛は笑って奈々瀬に言う。三人は横一列にベンチに並んで座っている。
「奈々瀬がお化け屋敷とか苦手なのわかってたから」
「凛はそうだったのね」
「だから。幼稚園の頃からの付き合いよ」
 凛を中央にして明日夢は彼女から見て右、奈々瀬は左にいる。そうしてそのうえで話をするのだった。結果として凛の背の高さが目立つ形になっていた。
「それはね」
「だからなのね」
「苦手なものは仕方ないわよ」
 凛はまた言った。
「どうしてもね」
「私。ああいうのだけは駄目なのよ」
 奈々瀬は流石に今は泣きそうな顔をしてはいないがそれでも俯いてはいた。
「お化けとか幽霊とかは」
「そんなに苦手なのね」
「全体的に怖いのは駄目なの」 
 そしてまた言うのだった。
「そういうのは」
「もう絶対に駄目なのね」
「うん、そうなの」
 また明日夢に話す。
「だから幼稚園の頃から」
「奈々瀬ってね。私達の中で一番女の子らしいし」
 今度は凛が明日夢に話した。
「それに大人しいじゃない」
「そうよね。一人でいることはないからそれはよくわからないけれど」
「女の子らしいとは自分では思わないけれど」
 奈々瀬がまた言った。
「別にね」
「茜のあれは高所恐怖症だけれどね」
「奈々瀬はまた別なのよ」
 凛がここでまた明日夢に話した。
「だからあれでしょ。春華が」
「ええ」
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