第二章 十三年の孤独
第45話 空の街【ヒンメル】
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「はじめまして。私……いや、アナタ達には"俺"……かな。【ヒンメル】の長を務める『シエル・ウィンド』と申します」
「俺……!?」
一同の目の前に現れたのは白と黒の濃淡のみで構成された天馬と全く同じ顔を持つイレギュラーだった。
「キャプテンにそっくりやんね!」
「おい、アステリ。これはどう言う事だ」
困惑した様子で問いかける神童にアステリは首を小さく横に振ると、同じく困惑した様子で囁いた。
「ボクにも何がなんだか……天馬と同じ顔のイレギュラーなんて……」
ざわざわと戸惑う一同の反応に、シエルと名乗る男は申し訳なさそうに眉を下げた。
「突然この様な姿を晒し、驚かせてしまってすみません。俺はアナタ方のよく知る松風天馬と同じ姿をしていますが、全くの別人だと思ってください。そうした方が少しは戸惑いも解消されるでしょう」
「天馬と全然話し方違う……」
天馬の見た目を模しながら、全く違う口調で話すシエルに葵が呟く。
「皆さんがこの街に来られる事は分かってました。アナタ方はあの人に会う為、黒の塔に向かっているのですね」
「! どうしてそれを……」
核心を突いたシエルの言葉にフェイが驚いたように声を上げた。
その反応に穏やかな笑みを浮かべたシエルは「信じ難い事だとは思いますが」と少し俯きがちに言葉を続ける。
「俺は世界中に吹く風からこの世界で何が起きているのか知る力があります。なので皆さんがこの世界に来た事も、その目的も、全て認知していました」
この世界に住む種族が特殊な力を持っているのは、スキアやアステリの件で否が応にも理解出来ていた。そんな彼等だからか、今更シエルの言葉を疑う事などせず、淡々とその事実を受け止める事が出来た。
「じゃあ話は早いんだけど、少しの間この街で休ませてもらいたいんだ」
「ええ、構いませんよ。ちょうど街の東側に誰も使っていない大きな空き家があります。家具類も一応ですが揃ってますのでそこをお使いください」
快く承諾してくれたシエルに礼を言うと、天馬達は案内役のゲイルに連れられ街の東側へと歩きだした。
ゲイルの案内で空き家へと辿り着いた一同は各自振り分けられた個室に自身の荷物を下ろすと、大広間でこれからの事を話し合う事にした。
「それにしても、まさかこの街の長って言うのが天馬くんソックリな奴だったとはねー」
木製の椅子に腰をかけながら、狩屋が言う。
「うん、ボクも驚いたよ」
「アステリも知らなかったやんね?」
「さっきも言った通りこの世界は日によって地形が変わるし、以前までのボクは自分が生まれた場所から出るなんて事しなかったから……」
黄名子の問いにアステリは静かに答えた。
「とりあえず、この街を
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