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色を無くしたこの世界で
第二章 十三年の孤独
第43話 険悪
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動でこちらの身が危険に晒されては――――」
「いい加減にしろ、白竜」

 先程よりも高圧的になってきた白竜を止めるように、剣城がその肩を強く掴む。その行動が気に入らなかったのか、白竜は振り返るとギロリと彼を睨み付けた。
 両者の間でピリピリとした空気が流れる。それを察して天馬が二人の間に入った時だった。

「おい、あれはなんだ?」

 緊迫した雰囲気の中、ワンダバがそんなノンキな声を上げる。
 傍にいたフェイが「どうしたの」とワンダバの視線の先に目をやると、先程から見慣れてきたコンクリートの道の先に白い石製のゲートのような物が見えた。
 先程まで険悪した雰囲気だった白竜達も同様にそのゲートの方に視線を向ける。

「こんなゲート、さっきまであったか?」
「いや……」

 神童の問いに一同は首を横に振る。
 確かに先程までは皆平坦な風景と疲れから自然と伏し目がちになっている者も多くいた。
 だが、これだけの人数がいて誰一人このゲートに気付かなかったなんて、あり得るのだろうか。

「……この先にも道があるみたいだな」

 ゲートの向こう側を見ると、同様に白い石製の道が続いているようで、先に進む事が出来る。
 アステリはゲートの先を見詰めると、少しの間まぶたを閉じ意識を集中させる。そしてゆっくり目を開けると一つ頷き、口を開く。

「行こう」
「大丈夫なの?」
「身の危険の心配は無いよ。……それに、どの道先に進むにはこのゲートの先に行かなくちゃいけない」
「行くしかないか……」

 神童はメンバーの顔をぐるりと見回し、反論が無い事を確認するとそう言葉を発した。
 先頭はアステリが、最後尾には未だ怪訝そうな様子の白竜を連れ一同はゲートをくぐり、先へ進み出した。
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