第二章 十三年の孤独
第42話 モノクロ世界
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這うようにして動く黒い塊だった。
手足が無く、はねるように動く者。地面に寝そべり動こうとしない者。
大きい者、小さい者、細い者、太い者……様々な形の黒い塊が無数にうごめいていた。
あれもイレギュラーの一種なのだろうか……
顔をしかめ見詰める一同に、アステリが口を開く。
「あれが、この世界に住む異端な存在……イレギュラーだよ」
「あれが……」
「でも、僕達が戦った奴等とは違うよ?」
尋ねた信助の言葉に、アステリはイレギュラーには三つの種類がある事、そして今自分達の前にいるのが通常のイレギュラーの姿だと言う事を伝える。
「顔も、色の濃淡もあるスキアやボクの方が、本当はイレギュラーとして特殊な存在なんだ」
「そうなんだ……」
アステリの話に無理矢理ながらも納得したように信助は呟いた。
未だ困惑の色を浮かばせているメンバーの中、黄名子が声を上げる。
「ウチ、あの人達に話し掛けてくるやんね」
「え、ダメだよ黄名子!」
危険だと訴えるフェイの言葉をよそに、黄名子は黒い塊に駆け寄り声をかけた。
しかし、黒い塊は話し掛けてきた黄名子の事など眼中にないかのように、彼女の横をずるずると這いずり去ってしまった。
「ありゃ……行っちゃったやんね」
「もう黄名子ってば。勝手に行動したら危険だよ!」
通り過ぎていく塊を見詰め呟いた黄名子に、フェイが咎めるように言葉を発した。
「ごめんやんね」と謝る黄名子。その姿を横目に、白竜がアステリに尋ねる。
「アステリ。アイツ等もお前や敵と同じイレギュラーだと言ったが、俺達に襲い掛かってきたりはしないんだろうな」
「あぁ。アレはキミ達に危害を加えたりはしない。絶対に」
「なぜ、そう言いきれる」
疑り深く、警戒心が強い白竜らしい反応だ。
傍で二人の会話を聞いていた剣城も、腕を組みアステリの言葉を待っているのか黙りこくっている。
「色が無い奴等には生物が持つ感情も、意識も、思考も、何もない。さっき菜花さんが話しかけた時、反応が無かったのが何よりの証拠だよ。……外見も中身も無い、不安定で無機質な存在。それが黒いイレギュラーの全てだから」
怪訝そうな白竜の目を見据えながら、淡々とアステリは語る。
その言葉に、白竜は納得はせずとも理解は出来たような、複雑そうな表情を浮かべた。
「……ごめん、難しいよね。でも、奴等がキミ達に危害を加えないと言う事だけは絶対だから。そこだけは、信じてほしい」
「…………分かった」
白竜の返事にアステリは小さく微笑むと「ありがとう」と言い、歩きだした。
「疑っているのか」
剣城が白竜に声をかける。
「当たり前だ。こんな得体の知れない場所も、アイツの事も、全てが信
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