提督の反撃・その2
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いな。
「あぁ勿論、アメリカも参加してもらってかまわんよ?ただし、参加料を払えばだが」
当然だが、賠償金と参加料は別だ。
「そ、そんな大金は私の一存では……」
「まぁ、今すぐに決めろとは言わんさ。ただし、参加したいって国は沢山いるみたいだぜぇ?」
俺の隣に座っていた大淀が、パソコンの画面を大使殿に見せる。それは特設のネットオークションのページ。この展開に持ってくる事を予め想定して作っておいた。
「ここに5000万ドル振り込めば、参加する権利を得る仕組みだ」
「ご、5000万ドル!?」
「新兵器開発費用と思えばかなりの低価格だと思うがねぇ。その証拠に……ホレ」
トップページに設置されている参加者リストは今もドンドン人数が増えていく。そこには、国名だけではなく名だたる軍事産業企業の名前もある。
「よっぽど欲しいんだなぁ?皆さん揃って参加料、即金で振り込んでるぜ」
「む……むぅ」
「それに、アメリカの国力を考えれば500万ドルなんてポンと出せる額だろう?」
「し、しかしですな」
なおもゴネる大使殿に、段々とイライラしてきた。この辺でトドメを刺してやろうかと思い立ったその時、対談中の部屋に駆け込んで来る艦娘が一人。
「darling、お電話デス」
俺が大使殿と対談中、執務室で業務の代行を頼んでおいた嫁さんだった。
「あのなぁ金剛、状況考えろや。今このオッさんとお話するより大事な用があると思うか?」
「だから、そのオッさんよりも上の立場の人からネ〜」
成る程、そりゃあ目の前のオッさんよりも大事だわな。俺は受話器を受け取ると、スピーカーをONにした。
『どうやらそちらの提督は、想定以上の食わせ者のようだな』
「プ、大統領(プレジデント)!」
「特別ゲストのご登場〜……ってか?」
そう、電話の主はアメリカの大統領。どうやってウチの鎮守府の執務室の番号を調べ上げたかはわからんが、直通で電話してきたらしい。
「それで?ご用件を窺いましょうか大統領」
『知れた事を。君の催すオークションとやらに、我が国も参加させて貰おうと思ってね』
「ほほぅ?まぁウチとしては払う物払ってもらえれば、参加者として何の問題もありませんがねぇ」
『当然だな。では、オークションの開催を楽しみにしている』
「こちらこそ。せいぜい高値で競り落としてください」
そこで通話は切れる。目の前では、自分の頭越しに賠償の話が進んだ事に理解が追い付いてないのか、呆けた表情の大使殿が座っていた。
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