第7章:神界大戦
第205話「道中」
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……?)」
推測が頭の中を駆け巡る。
確定できる情報がないため、それらは確信には至らない。
しかし、推測するには十分な情報だった。
「(もし、仮にその時点で神界について知っていたとしよう。あいつは僕から派生した人格のはずだ。だとすれば、記憶も僕を基準とするはず。で、あればおかしい)」
当然だが、当時の優輝は神界に関して一切知らない。
優輝の記憶を基準としているのなら、優奈が神界について知っているはずがなかった。
「(可能性としては、三つ。一つは、この推測自体が間違っている事。もう一つは、あいつが嘘をついているだけで、実は出まかせ……またはあいつが僕から派生した人格ではない事)」
これは推測の域を出ない。
それがわかっているため、優輝はただの考えすぎの可能性も捨てなかった。
だが、同時に優奈に対しても疑いを持っていた。
もう一つの人格を名乗っているだけの、“別の何者”かという疑いを。
「(……最後に、僕自身、覚えていないだけか……)」
最後の考えは、自分自身に向けた疑いだった。
思い返せば、自身の経歴には都合が良かった事や、どうして成し遂げられたのか、疑問に思える事が所々に存在していた。
「(志導優輝になる前……もしくは、ムートになる前。その時点で、僕は神界について知った可能性がある。それを、優奈のみ思い出したのであれば……)」
そこまで考えて、優輝は一度思考を中断する。
「(……我ながら、都合のいい解釈だ。推測そのものが間違っているかもしれない以上、誰かに伝えるのは得策ではないな)」
確定した情報はないため、誰かに伝えるべきではないと判断する優輝。
感情があれば、誰かに相談する形で伝えていたかもしれないが、感情がない今は自己完結してしまうためにそれもなかった。
「優輝君?」
「なんだ?」
「少し考え込む素振りしてたから……何かあるの?」
思考を中断した所で、司が声を掛けてきた。
「……いや、曖昧な情報で、確かな事がない。言う程の事じゃない」
「そう?」
すぐにはぐらかす優輝。
その言い方に引っ掛かる司だが、それ以上聞く事はなかった。
「はいはい。お兄ちゃんも司さんも、ここは敵地なんだから気を張って」
司がそれ以上尋ねようとせずにいると、緋雪が割り込んできた。
「(あ、また牽制……)」
「(気を抜くとすぐ司さんは近づくんだから……!)」
なお、口にしていた内容と裏腹に、その行動の実態はやきもちでしかなかった。
兄を取られているような気がして、どうも牽制せずにはいられなかったようだ
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