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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第51話 帰ろう
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様」
「さっきから何ですか?? なんで止めるんですか??」
「琴葉様は絶刃を使って、既に六人を助けました。それに、地下牢獄は消滅しました」
「え。本当?」
「本当」
「ガチ?」
「ガチ」
「貴方の名前は?」
「闇月仁です」
「所属は?」
「琴葉様の派閥に」
「頭大丈夫?」
「頭大丈夫」
「本当に仁なんですね? 頭打ったりして無いですね?」
「はい」
「よかったぁぁああああ……」
よかったぁああああなのはこっちだよ馬鹿、と仁が心の中で叫んだ気がします。
時計を見ると、看守達が突入してから三日経ったと言う事が分かる。いつも以上に細く、白くなった腕を見ればいくつものチューブが止めてあって、相当自分が弱っていた事を嫌でも自覚させられる。
「あの、六人に会わせて下さい。彼等が今、どんな状態なのか知りたくて」
「畏まりました。しかし、琴葉様は首領に“記憶消去”の魔法を掛けられた後ですから……」
「此の状態では立てませんね。なら、車椅子を用意してくれませんか? 椅子に座るくらいなら出来ます」
「分かりました。直ぐに用意します」
動けない。体を起こす事は出来るが、腕を動かしたり、足を動かす事は出来ない。目や耳の調子も悪い。
きっと、首領は六人の治療を私の魔力で、蘇生を私の体を“代償”として行ったのだろう。その内回復するとは言え、魔力が全く無い状態では、何時になったら治るのか、分かったものじゃない。
「なんで、私ばっかり……こんな辛い目に遭わなくちゃいけないんだろ……」
誰に聞いても、答えは同じ。だから、答えなんて要らない。
『お前より俺の方が辛い』なんて、聞いたら余計に悲しくなってしまうから。
だけど声に出して、誰も居ない空間に問うくらいなら大丈夫。
誰も、居ない。
「悲しいなぁ……」
「なら、俺が連れ出してやるよ」
誰? 声の主にそう問う前に、私の唇は柔らかいものによって塞がれた。
「……レン、さん?」
「此処に居るのは辛いんだろ? もう、マフィアの首領はお前を解放した。だから、俺と一緒に来てくれないか?」
私は湊さんに捨てられたの?
違う、嫌だ。捨てないで。
一人もいやなの。寂しいの。寒いの。怖いの。
「でも、私……人間じゃない……誰かと契約して、魔力を貰わなきゃ……生きていけない……」
「俺が契約してやる。俺が生かしてやる。だから、一緒に行かないか? 自由の場所に」
差し伸べられた手は、とても白くて、男だとは思えない程細い。
きっと、此の人も丁寧に育てて貰う事が出来なかった、悲しい人なんだな。
彼の言葉を聞いた途端、彼の真っ直ぐな瞳から、目が離せ
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