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色を無くしたこの世界で
第二章 十三年の孤独
第37話 おかしな皆
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向に視線を動かすと、フェイ、ワンダバ、葵、信助の四人が歩いてくるのが見えた。
 天馬達の元へ辿り着いたフェイは周囲の様子を確認すると、複雑そうな表情で天馬に尋ねる。

「天馬……三国さん達は…………」
「いなくなっちゃった…………俺等の事やサッカーを知らないって言って……」

 恐らく、フェイは知っていたのだろう。悲しそうに目を伏せ、「そうか」と呟く。
 隣を見ると、葵や信助までもが同様に苦しそうな顔で俯いている。
 その様子に、天馬は先程病室でメンバーの事を尋ねた時、葵と信助が暗い顔をしていたのもこの事が原因なのだろうと酷く納得した。

 重たい沈黙が部屋に流れる。
 もう対して痛く無いはずの体――特に胸あたりが酷く痛む気がして、天馬は顔を歪ませた。
 辛そうに沈む天馬達の様子に耐え切れなくなったのか、アステリが口を開く。

「……あのね、天馬。さっきの三国さん達の事なんだけど……」
「え……アステリ、何か知ってるの?」

 アステリの一言に一同は俯かせていた顔を上げ、一斉に彼の方を見る。

「うん。……さっきね、三国さん達がここから去る時に……"影"が無かったんだ」
「影……?」

 予想だにしなかったアステリの言葉にその場の全員が訝し気な表情を浮かばせる。
 三国達がおかしくなった理由……それとアステリが言う『影』に、一体どんな関係があると言うのだろうか?

「ザ・デッドが使った必殺タクティクス…………あれには影を支配する力があるってスキアは言っていたよね」
「うん……」

――そう言えばそんな事を言っていたな……

 アステリは言う。
 先程戦ったスキアの繰り出した必殺タクティクス《影縫い》には生物の影を支配する力がある。
 影とは古くからその生物の魂が少なかれ宿る不思議なモノ。
 そして魂とは生物の気力、精神、素質、記憶を司る……いわば生物の中枢――"脳"と言っても過言では無いモノ。
 三国達は影を通してそんな魂を支配されてしまっている……のだと。

「じゃあ、影を支配されたせいで……皆おかしくなっちゃったの?」
「うん……」
「でも、僕達には影があるよ!」

 自分達も三国達と同じフィールドに立っていた。
 それなのになぜ、自分達は無事なのか。
 声を上げ尋ねた信助にアステリは一瞬言葉を詰まらせるも、すぐさま言葉を返した

「それは……恐らく、色の力のおかげだよ……」
「色……?」
「それってあの変なローブの奴の?」

 アステリの言葉に今まで黙っていた剣城が静かに反応した。
 続いて狩屋がいつもの様なツンとした態度で言葉を発する。

「うん、それも影響しているけど……根本的な影響はもっと別にあるんだ」
「どう言う事だ」

 神童が聞くとア
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