第三章
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「売りつけてるしな」
「相当に悪質やな」
「それで、です。住所も言わされて」
「それでか」
「家に。人が何時の間にか来て」
「売りつけてな」
「その人の後を追おうとしても」
そうしようとしてもといのだ。
「これがです」
「見付からんか」
「はい、その場で煙みたいに消えて」
「術使ってるな」
どうして来て消えるか、茅はすぐにわかった。
「移動の術とかを」
「術の悪用の典型的やな」
屈もそこはわかった。
「まさに」
「そやな、これは」
「売りつけるし術も悪用する」
「麻薬売る奴に相応しいな」
「見事なまでの外道や」
「そのことはわかったな」
「ああ、けどな」
それでもとだ、茅は苦い顔で言うばかりだった。
「それ以外のことはな」
「わからんな」
「ほんまにな」
二人共今はだった、実際に全くわからなかった。しかも警官達が患者の家に張り込みをすると。
売人は来ない、このことも問題だった。
それで茅は屈に食博先として提供されている宿屋の自分達の部屋の中で話した。
「相当用心深いな」
「ああ、張り込みをしてもな」
「どうも事前にしっかり調べてな」
「家に来てるな」
「そうみたいな」
「と、なるとな」
「流石に警察やとお手上げや」
彼等では、というのだ。
「そしてや」
「相当な腕の冒険者にも協力を仰いでも」
警察署はギルドにも依頼している、それだけ必死ということだ。
「冒険者が張り込みをしてもな」
「来ん、しかも一人暮らしとか一家全員手を出させたりとか」
「巧妙やしな」
売る相手も選んでいるというのだ。
「何から何までな」
「頭の働く相手やな」
「腹立つ位にな」
こう二人で話した、そしてだった。
二人もどうかと思った、だが。
ここでだ、茅は屈にこんなことを言った。
「麻薬の成分はわかってる」
「花から作るな」
「そや、この世界にだけあるな」
「キンレンソウやな」
「水滸伝の悪女の名前やな」
藩金連という、武松の兄嫁だがふしだらで夫を間男と共に殺し武松に成敗される。
「その名に相応しいな」
「奇麗やけどな」
「麻薬の成分になるな」
「とんでもない花やな」
「あの麻薬はこの花からしか作られるん」
「そやな、けどな」
「あの花はこの街の何処にもない」
「匂いすらせん」
「そやからな」
「このことからもな」
「厄介なことになってる」
手掛かりが得られていないというのだ。
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