第一章
[2]次話
悪魔の花
茅玄水と屈陽順は今は茅の神託で中国海南省海口にいた。茅は街に入るとすぐに屈に対して深刻な顔で囁いた。
「洒落にならんな」
「ああ、あの噂な」
「ここに来る船の中で聞いたやろ、自分も」
「麻薬か」
「ああ、今ここではな」
この海口市ではというのだ。
「麻薬が流行ってる」
「あれはどの世界でもあるな」
屈は苦々しい顔で言った。
「僕等の世界でもな」
「ほんまやな、あんなんなくてもええのにな」
「そう思うわ」
「そして手を出すアホもおる」
茅は苦い顔でこうも言った。
「何処でもな」
「それでこの海口でもやな」
「麻薬が蔓延しててな」
「洒落にならんことになってるな」
「それでや、麻薬はな」
茅は苦い顔で屈に話した。二人が歩いている街中では麻薬をしている様な者は見えない。これは幸いにしてだった。
「手を出すアホにや」
「売る外道がおるな」
「どんなもんかわかっててな」
「それが常やな」
「それでや」
「この街にもおるな」
「売る奴がおらな何でも出回らん」
「そういうことやからな」
それでと言うのだった。
「これからな」
「まずはやな」
「色々調べるか」
「どんな種類の麻薬かも調べてな」
「そしてな」
「それからやな」
「賊をな」
麻薬を売る者達をというのだ。
「突き止めてな」
「成敗しよか」
二人でこう話してだ、そしてだった。
茅は屈と共にまずは自分達の素性を明かしたうえで海口の警察署に入った、そのうえで二人で街の麻薬の状況を調べると。
すぐにだ、二人は警察署の署長に共に昼食を食堂で摂りつつこう言われた。メニューは三人共炒飯と八宝菜に湯そして魚を揚げたものだ。
「我々もです」
「麻薬のことはやな」
「はい、深刻な問題と把握していて」
それでと言うのだった。
「何とかです」
「取り締まろうとしてるか」
「売買のルートも突き止めようとしていますが」
「それでもか」
「はい、どうにもです」
そのことがというのだ。
「出来なくて」
「それで、ですか」
「困っています」
「何もわからんでか」
「それも一切」
「けれど麻薬はやな」
茅に代わって屈が言った。
「実際にやな」
「街に蔓延していまして」
「洒落にならんことになってるな」
「はい」
その通りだとだ、署長は答えた。猫人であり名を時洋心という彼が。
「街の市民の一割近くが」
「麻薬をやってるか」
「これが極めて常習性と禁断症状が強く」
そうした麻薬でというのだ。
「一度手を出すとです」
「止められん様になるか」
「その様で。何でも気分がこの上なく向上し幻覚も見て」
そうなってというのだ。
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