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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第34話 再戦VSザ・デッド――圧倒的な力の差
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!!」

 何度目かの悲痛の叫びがメンバー達から発せられる。

『ソウル《ブラックドッグ》を発動したスキア選手!! 圧倒的な力で、雷門イレブンの防御を突破していきます!!』

 ボールを持った獣《ブラックドッグ》は、ゴール前までたどり着くと突如進行方向を変え、倒れる雷門イレブン目掛け再度進撃を開始した。
 まるでブレーキを失った暴走車の如く、雷門イレブンを容赦無く叩き伏せるスキア。
 ゴールを狙う事はせず、後半戦開始直後の様にただただ天馬達を痛めつける事を目的とした行為は、ピッチに立つ雷門イレブンがいなくなるまで続けられた。
 ピッチ上の選手達の苦しむ姿を見る事しか出来ない雷門ベンチの空気は重く、皆一様に苦しそうに顔をしかめ拳を強く握っていた。

 何も出来ない自分が悔しく、嫌になる。ベンチで痛む体をおさえながらその光景を見る三国達の心には、どす黒い自己嫌悪の様な物がぐるぐると巡り始めていた。

「あーあ……無様だなぁ……」

 ブラックドッグの爆走により立ちのぼった土煙が晴れていく様を見詰めながらマッドネスは呟く。
 フィールドに流れる不快な風に眉をひそめ、ソウルを解くスキア。その周りには全身傷だらけで倒れる雷門イレブンの姿があった。

『な…………なんて事でしょう!! スキア選手の発動したソウルに全く歯が立たない雷門! 倒れたまま動きません!! 大丈夫でしょうか!?』
「天馬ッ!」

 その場の光景に目を見張り驚愕するアルの言葉に、葵……それにゴールキーパーの信助も悲痛の声を上げた。
 右足でボールを踏み付けながら、スキアは退屈そうに伏せる視線をぐるりと一周すると、動かない雷門イレブンに向かい話し始めた。

「悲しいですね……こんな物なんですか。雷門のサッカーと言う物は……」

 問うスキアの言葉に、天馬は「違う」と否定の言葉を吐きたかった。
 だがダメージが大きすぎるのか、声をあげる事はおろか、息をするので精一杯な彼等は、見下すスキアに対し悔しそうに顔を歪める事しか出来ない。
 返ってくる事の無い答えを待つスキアに痺れを切らしたのか、マッドネスが声をかける。

「スキア、いつまでそうやってんだ。もう勝負はついた…………さっさと、終わらせようぜ」
「…………えぇ。そうですね――――全部、終わりにしましょう」

 瞬間、スキアの周りに黒い波紋の様なモノが発動する。
 波紋はフィールドに倒れる天馬達を初め、ベンチで待機する他の雷門メンバーの体を通り抜けると、影の世界全体に広がっていく。
 目視出来る程色濃く出たソレを目で追いながら、何が始まったのかと困惑する一同。
 すると突如、視界がガクンと激しく揺れ、巨大な重りがのしかかる様な圧迫感と目を開けている事すらままならない程の脱力感が天馬達
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