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邪宗の尼僧
第五章
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 自分が潜んでいる天井からだ、その禍々しい像に向けて渾身の蹴りを放った。すると像は轟音と共に砕け散り。
 その音を合図に、音を消す結界は張っておらずその音を聞いてだった。
 茅が寺に飛び込んだ、茅は寺を轟音と共に突き進んできた。そうして開祖と対峙する屈に対して開祖の背中越しに言ってきた。
「間に合ったな」
「ああ、ほなな」
「こいつが糞坊主やな」
「そや、退治するで」
「わかったな」
「拙僧を倒すとな」
 開祖は二人の言葉に不敵に応えた、そしてだった。
 念仏、とはいっても邪宗のそれであるものを唱えると周りに次から次に様々な種類のモンスター達が出て来た。その彼等に囲まれて言うのだった。
「やってみよ、拙僧はどれだけでもモンスターを出せてだ」
「お前自身も強いか」
「その拙僧を倒せるか」
「ああ、それを今から見せたるわ」
「ほな今からやるか」
 茅も言う、そしてだった。 
 二人は合流しそのうえで次から次にと出て来るモンスター達を倒していった、そして遂にモンスター達を全て倒し。 
 強力な術を繰り出す開祖の首を刎ねた、屈はその転がる首が何という強さかと呟くのを聞きながら言った。
「悪党はこうなるのが運命や」
「その通りやな」
 茅も同じ考えだった、そしてだった。
 二人は自分達の素性を明かしたうえで大連の警察に連絡し寺に入らせた、そうして開祖を一旦屍のまま捕えさせて。
 強力な術を使ううえに現行犯だったので屍を消させ魂も滅ぼさせた、それから犠牲者を救出し生贄に捧げられた者達を蘇らせた。
 邪宗の寺は徹底的にお祓いが為されたうえで完全に破壊された。これで全てが終わり。
 屈と茅は大連を後にすることにした、この時にだった。
 屈の手にあるものが宿った、彼はその手に出たものを自分の心の中に言ってくる言葉を聞きつつ茅に話した。
「僕の新たな神具蜘蛛の糸や」
「仏さんの糸か」
「そや、?陀多のな」
 日本の小説家芥川龍之介が小説にしたそれだというのだ。
「敵を縛って切ってな」
「仕事人みたいにか」
「それで罠を解除も出来る」
「糸を張ってか」
「そうした万能の神具や」
「ええもん手に入ったな」
「そしてや」
 屈はさらに話した。
「僕自身今回の神託を乗り越えてな」
「それでか」
「そや、心の中でも言われてるが僕自身も感じてる」
 まさにというのだ。
「全体的に一回り強なった」
「そうなったか」
「そや、そやからな」
「その神具と強うなった力でか」
「これからも頑張ってくわ」
 こう茅に言うのだった。
「そうするわ、ほな次の場所にな」
「行くな」
「そうしよな、この世界を救う為に」
 屈は茅に笑顔で言った、そうして大連を後にした。世界を救う戦いはまだ続くのだった。


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