暁 〜小説投稿サイト〜
魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第50話 抗え、超えろ、助けろ。
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かぁぁあああああ???? 居るなら返事してくださぁあああああい??」

勿論、返答は無い。

「生きてるなら反応してくださぁぁあああああい????」

反応も無い。

もう此の空間では魔法は使えない。だから、体温を見つける事や、透視は不可能。
頼れるのは、自分の勘だけ。

絶刃を瓦礫に突き立て、半径三メートル以内、深さは最大までの瓦礫を最大限まで細かくして、粉の様にする。範囲内に人が居たら肉片や血が混ざっている筈だが、其れ等は見当たらない。此処には居なかった様だ。

「誰かぁぁあああああああ??」

ガラッ。

右側の瓦礫から、小さく音がした。

出っ張っている部分に足を掛けて、音がした高さまで登る。そして絶刃を使いながら瓦礫を掻き分けて行くと、赤く染まっている瓦礫を見つける。


此の奥に居る。


瓦礫を退かして、見えてきた体を引っ張り出す。足が潰れていて、息が浅い。だが、体が見つかりさえすれば治療出来る。
残りの五人も、早く見つけないと。

瓦礫を粉々にして、只管叫ぶ。音が聞こえたら、その辺りを探す。


だが、六人見つかった時には、残り時間五秒。


「間に合え……ッ??」

六人を抱えたり、引き摺り乍ら、絶刃でまた空間を断絶。何時もの空間に繋げて、直ぐに出る。
重すぎる荷物を何時もの空間に置いて、直ぐに空間の裂け目を繋ぐ。そうしないと、恐らくだが此の空間も消去されてしまう。





イチ。





ゼロ。





「……すみませんが……私、もう……限界……後で、治療しま、す……」

急に眠気が襲ってきて、絶刃を手放しながら、私は倒れた。


間に合ったぁ。



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