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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
予行演習《プロローグ》
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船であったとするならば、理子は君を、本気で倒すつもりでいるのだと思うよ」


それでは何のために、今、自分たちは飛行機に居るのか──。これが彼女へのメッセージだ。
刹那──そうして、それに応えるかのようにして、機内に2発の銃声が鳴り響いた。同時に、それを聞き留めた乗客たちの狼狽の声色でさえも、あたりを層、一層の喧騒に陥れている。
逡巡する暇もなしに立ち上がりながら、銃を抜いてアリアへと目配せした。彼女も既に2丁拳銃のコルト・ガバメントを携えている。それを確認してから、部屋の扉を開いた。


「みんな個室に戻って! 廊下には出ないこと!」


廊下には数人の乗客員が居た。彼等彼女等を避難させながら、盾になるようにして立つ。
ベレッタM93Rの照準の先を見透かして、思わず咽喉が鳴るのを感じた。コックピットの扉から緩慢にその姿を現した彼女は、一見してただのキャビンアテンダントのように思える。それでも見覚えのある金眼に、その手に握っているワルサーP99──その銃口は迷いなく、自分たちへと向いていた。奥には何のためか、操縦士が項垂れているのが見える。

……嗚呼、間違いない。彼女が、自分の仕掛けた罠(・・・・・)に捕えられた張本人であり、アリアの母親に濡れ衣を着せた武偵殺しであり、そうして何より──、


「──峰理子、心境は如何だい? これが罠だと分かっていながらもなお、赴いたその心境は」
「……やっぱりかぁ、って感じだよ」
「ふふっ、それはどうもご苦労さまなことで」


何事かを独り言ちると、彼女は徐に首元に手を伸ばした。乾いた音と共に、その仮面を剥ぎ取っていく。およそ美麗で健康的な女子高生を思わせる雪肌に、虚空に靡く金髪のツインテール、照明に反射した金色の瞳は、しっかりと自分たちを見据えていた。紛れもなく、峰理子だった。

仕掛けた罠──こちらが使ったのは、超古典的手段。キンジのみを武偵校に向かわせ、理子に『彩斗とアリアが小さなことで喧嘩して、パートナー解消の話にまでなっている』とかいうことを、囁かせたのだ。これは勿論、嘘でしかない。しかし理子にそれを確かめる術も無いのだ。自分とアリアとで2人揃って欠席したのにも、そんな意図を裡面に込めさせていたからだ。

そうして放課後、キンジを1度だけ帰宅させた。そこからまた理子に電話を掛けさせる──今度は、『正式に2人のパートナー解消が決まった。アリアが夕方の海外便でロンドンに帰るらしい。せめて理子の方から考え直すように説得してやってくれ、それで無理なら諦める』と。
理子からすれば、アリアと直接対決する千載一遇の機会だろう。この時分では、アリアは理子のことを武偵殺しとして認識している。だから自分が介入すれば、飛行機での一騎討ち──遠山金一との一騎討ちを果たし
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