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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
本当にそれでいい?
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この面会室の全貌を把握しようと試みる。面会室としての機構に問題は見られない。見られない、のだが──何故、1人で事足りるはずの監視官が、2人体制にして彼女を監視するまでに至っているのか。アリアの母親──かなえさんが凶悪な犯罪者、という風貌には直感からしては思えないが、はて、そこは外見では分からないものだねぇ。仮に犯罪者ではないとするならば、こうして彼女が拘留されている原因として考えられるのは、恐らく──、
「被害者、か……」
自分がそう洩らしたことを自覚したのは、その刹那に空気が一変したからだった。神崎母娘は僅かに瞠目し、監視官はこちらを一瞥してくる。穏和から剣呑に変貌したこの空気の只中に置かれながら、これがアリアの伝えるべくしたことだろう──と納得もしていた。
「アリアは『自分が武偵殺しを追っている理由』を説明するために、母親と面会を試みたわけだろう。この時点で武偵殺しと神崎かなえさんとに、何らかの関連性が生まれたことになる。アリアを動かすだけの動機なら、『自分の母親が武偵殺しの被害に遭った』と仮定するのが自然でしょうね。けれども、彼の者の行う奇襲的犯行という点での被害者に、神崎かなえさんが居るという情報は聞いたことがない。ならば、それ以外の被害といえば──冤罪くらいかな。そうすれば、警察署を介しているこの現状とも辻褄が合う。武偵殺しの共犯者という線も考えたけれども、どうにもそんな、犯罪者のような風貌には思えなかったからね。……どうだい?」
答え合わせの意味も込めて、アリアに問い掛ける。謹厳、厳粛な態度でもって彼女は頷くと、そのまま母親の方に顔を向け直した。核心を直に触れられたことに、めいめいが動揺したように。
「面会時間が短いから手短に話すけど、彩斗は武偵殺しの3人目の被害者のうちの1人なのよ。先日、登校時に自転車に爆弾を仕掛けられたの。更にもう1件、先日にバスジャックが起きてる。武偵殺しの行動は、アタシが来てから急激に活発になり始めてるの。ってことは、もうすぐシッポも出すはずだから。……この件だけでも無実を証明すれば、ママの懲役864年が、一気に742年まで減刑される。最高裁までの間に、他も絶対、全部なんとかするから」
アリアはその言葉の裡面に、武偵殺しを逮捕することを示唆させていた。それも、冤罪を掛けられた自分の母親の刑期を少しでも短縮させようと、その一心で。
とはいっても、やはり──この結果は海外で裁判をしたからではあろうが──懲役864年という数字は、異質そのものだった。死刑制度の無い国家では併科主義を採用しているため、刑罰を合算していけば数百年や数千年の懲役は有り得る。タイの約14万年が最高記録だ。
では、武偵殺しは単独でそこまでの犯罪を犯したのか──否。知る限り武偵殺しは、殺
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