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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
本当にそれでいい?
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一帯に響くと、面会室の全貌が視界に飛び込んでくる。一部屋をアクリル板で分割したような、普通の面会室だった。アクリル板の向こうには、1人の女性がパイプ椅子に腰掛けている。2人の監視官を控えながら。
それにしても、彼女の顔には見覚えがある。アリアの愛銃──コルト・ガバメントのグリップに埋め込んであるカメオには、この女性に酷似している人物が彫られていた。
「アリア、その方は? 彼氏さん?」
「別に、そういうのじゃ……ないっ。誤解しないで、ママ」
「そうかぁー……。アリアも遂に彼氏さんが出来たかぁ」
「コイツは……武偵校のクラスメイトだし、彼氏なんかじゃないわっ」
穏和で奔放な性格らしいこの女性は、どうやら彼女の母親らしかった。一言二言の遣り取りをしながら、アリアは椅子に腰掛ける。自分も横に控えるようにして立っていた。
アクリル板の向こうに居る母親は、アリアの弁明を適当に聞き流しているようにも思える。『思春期の子供の考えることなんてお見通しよ』とでも言う風に、嫣然としていた。母親ならではの余裕らしきものをここに垣間見てしまった気がして、どうにも仕様がない。
「でも──アタシのパートナー、って形容した方がいいかな」
その一言で母親は、アクリル板越しにも分かる慰安の気を振り撒き始めた。微笑していた顔色は、微笑ではなくて笑顔に変貌している。彼女たちにとってパートナーを得ることが、どれだけ重要なのか──ここに居るだけで、感じすぎるほどに感じていた。
そうしてアリアは、こちらに目配せしてくる。「ママに自己紹介してあげて。あのことも全部」と呟いた。「……それじゃあ、この機会に」そう切り出して、アクリル板越しに告ぐ。
「東京武偵校2年の如月彩斗と申します。専攻は強襲科で、現在はSランク。母方の系譜が安倍晴明公──土御門家の嫡流で、38代目安倍晴明の肩書きを先代から賜りました」
「どうぞお見知り置きを」そう言って、終いにする。アリアが「挨拶が堅苦しすぎるわよ……」などと苦笑していたけれど、君がこちらの親を相手にした時の挨拶が気になるね。
「武偵としての実績も、系譜も、パートナーにするには文句無しでしょ?」アリアはそう母親に問い掛けた。その問い掛けには、確かに得意の響きがあったように思う。母親も頷いていた。彼女はそうして、如月彩斗という名を何度か、口の中で転がしていた。
「如月彩斗さん、お初にお目にかかります。アリアの母親の神崎かなえと申します。娘が大変なお家柄の方にご厄介になっているようでして……ご迷惑はお掛けしていませんでしょうか」
「いえいえ、そんな……。至って良い子にしてますよ」
「それなら良いのですが……。この子は子供っぽい節がありますから……」
苦笑しつつ、改めて
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