暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
武の論立者
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
アリアに行った推論の論説から、その翌日を迎えていた。自分はキッチンに立って朝食を作りながら、アリアはいつものように珈琲を飲みながら、めいめいに朝を過ごしている。キンジはまだ寝ているらしく、起きてきてはいなかった。休日だからというのもあるだろう。
そんなところでアリアと自分とは、キンジに昨日の論説を伝えるべきか──或いは伏しておくべきか、その選択肢の狭間で煩悶していた。そうして前者を執るべきだと、決意してもいた。

自分も含めてキンジもまた、峰理子と面識がある。彼女を武偵殺しとして仮定した以上は、彼女の前で下手なことは出来ないのだ。それを防ぐためにも、理子との付き合いは考えなければならない。無論、彼女が武偵殺しでないと判明した時に、支障が出ない程度には。
取り敢えずキンジを待ちながら、片手間に朝食を盛り付けていった。それを殆ど終えたあたりになってようやく、リビングの扉が開かれる。寝間着を羽織ったまま、寝癖を手櫛で梳かしながら、人差し指で腹部を掻きながら「……おはよう」とだけ声を洩らしていた。


「うん、おはよう。随分とお寝坊さんなところで早々に悪いんだけれど、少し話があるんだ」
「……何だよ、朝っぱらから。重大事でも起きたのか」
「まぁね。取り敢えず、朝食の前に話しておこうと思って。ほら、座って」


そのままキンジをダイニングテーブルの椅子に誘導すると、向かいに座っていたアリアも佇まいを改めさせた。俺も準備の手を止めて、自然に話せる距離にまで足を進めておく。


「昨日、彩斗が武偵殺しに関しての独自の推論をしたの。それで……まだ、まだ仮なんだけど、真犯人っぽいのが誰か分かっちゃったわけ。今からそれを順序立てて伝えるわ。本当はキンジに伝えようか迷ってたんだけど、彩斗と話し合って決めた。だから、よく聞きなさい」


そう言って、アリアはその赤紫色の瞳をこちらに向けた。論説しろという魂胆だろう。


「……それじゃあ、説明するね。昨日アリアに説明したことと同じ流れでいくよ。まず、キンジと俺は武偵殺しの被害者になっちゃったわけだ。君は、自分が武偵殺しの被害者になったことをどういう風に捉える? 難しく考える必要は皆無だよ」
「そりゃあ、武偵殺しの犯行は無差別なんだろ? 運が悪かっただけだ」
「うん、そう考えるのが最も自然でしょうね。……けれど、そうであるならば何故、武偵殺しは──俺たちが当日に自転車登校をするということを見越せたのかな? それ以外の可能性がある中で、ピンポイントに武偵殺しは、自転車に爆弾を仕掛けていた」


「それだって、無差別じゃないのか」キンジは重ね重ねで言う。「じゃあ、自分たちの登校する時の手段を、多用する順番に並べてみよう」そう返した。アリアにもそうしたように。


「彩斗の陰陽術
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ