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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
生半可な存在《モノ》じゃない
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子が調べて得た情報でしょ?」
「うん、そうだけど」
「それなら尚更、価値があるでしょう」
おかしい、どうにもおかしい。対価がついて回る──のは、誰であろうと知っているはずなのに。そこを敢えて無償でこちらに提供しようとする、理子のその姿勢の真意が、分からない。
それでも理子は、気の抜けたような顔をしていた。「ううん、違うよ」と首を横に振っている。
「だって、あっくんはその情報を悪用するとかじゃないでしょ? 悪用するなら理子が調べたぶんの報酬は貰うけど、これは理子の勝手な善意だもん。あっくんがアリアのことを気にかけてるみたいだったから、どうせなら教えてあげようかなー、って。午前中もバスジャックの事件をアリアと解決したっぽいじゃん? もしかしたら今度も一緒に依頼とかやるかもだし」
理子の身勝手な善意──その言葉が、どうにも気になっていた。違和感にも似た、それでいて酷似しているまた別のもののような、そんな気がしていた。
しかし理子の口ぶりを見るに、自分とアリアとがパートナーとして武偵活動を始めることは、まだ知らないらしい。まぁ、それは公言せずとも時間の問題だろう。アリアと一緒に居る時間が増えれば、良かれ悪かれ、色々な噂は立つだろうから。その時はまたその時だ。
「それじゃあ、うん、有難く貰っておこうかな。……でもね」
「でも?」
「やっぱり、少しくらいは何かお礼させて。貰いっぱなしだと悪いから」
「うーん、どうしよっかなぁ……」
どうしようどうしよう、とひとしきり考えた結果、どうやら理子のなかで答えは出たらしい。およそ物を強請るような子供の表情をしながら、それでもご機嫌そうに笑いながら言った。
「キーくんと、星伽白雪……ゆきちゃん? がカップル成立するのを見ていたいなぁー、って。キーくんから、『彩斗に怒られた。やらなきゃな……』って今朝に言われたもん。面白そうだから見てていい? いいでしょ? たまにはちょっとアドバイスするかもだけど!」
こういうところが、如何にも峰理子らしいといえば、らしいのだが。
「じゃあ、それで交渉成立だね」
「おぉ、やったぁっ! いぇーいっ!! はいたーっち!」
理子に言われるままに手を重ねた。軽快な音が掌から弾けていく。張り詰めたようなちょっとした痛みと、少女らしい肌の滑らかさと温もりとを、いっぺんに感受した。
そうして、理子からタブレットを受け取り──その中身を、見る。文章としてかなりの情報量を含んでいるそれは、今の現状でいちばん、アリアのことを理解するに相応しいものだった。
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