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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
生半可な存在《モノ》じゃない
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殺しは、その表層的な素性の中にヒントをありありと浮かばしているように思えて、仕様がなかったのだ。先日のセグウェイもそうだ。鑑識科に鑑定を任せてはいる、と理子からは聞いたけれども、それは果たしてどうなったのだろうか。学校が終わったあたりに訊いてみようかしら……などと考えてみる。

すると徐に、玄関扉の開閉音と足音が聞こえてきた。歩幅の感覚も短いし、そこまで音も反響しないということは、身軽な女子だろうか。だとすればアリアか、或いは──、


「ちょりーっす、理子りんのお出ましだよーっ!」


リビングの扉を勢いよく開け放った『理子りん』こと峰理子は、何やらいつも通りの珍妙な格好で挨拶をしてから、小走りにこちらへと歩み寄ってきた。一体どんな御用向きだろうか。
取り敢えず上体を起こして、ソファーに理子が座れるだけのスペースを確保してやる。「どうぞ、まずは腰掛けて」と手招くと、空いたそのスペースに理子は迷いなく座った。
そうして、どこからか取り出した小型のタブレット端末を手にして、


「さて、ここだけの話をしようっ!」
「……何のこと、いきなり押し掛けてきて。そもそも君はまだ武偵校に居る時間だろうに。というか、そのタブレットはどうしたの。何か重要なことでもあるのかい」
「ちょっと伝えたいことがあるから抜け出してきた。タブレットは情報科に貰ったの」


伝えたいこと──? 何のことやらと首を傾げると、理子は『待ってましたっ!』と言うかのように、タブレットの画面を見せてくる。そこには、かのSランク武偵である神崎・H・アリアの顔写真が貼付されており、その下にはプロフィールと思しき文の羅列があった。


「理子が調べたんだー。知りたいでしょ? アリアのこと」


理子はそう問い掛けてきた。口角を僅かに上げさせた、どこだか悪戯をする子供のような、そんな容貌に見える。それは果たして深読みなのだろうか。まぁ、どちらにせよ……だろう。
しかし理子のことだ。仮にここで背いたとしても、無償でこの情報を提供するほど馬鹿ではないだろう。有益なものには、それ相応の対価がついて回る。武偵はそれを、痛感している。


「……何をすればいい?」


峰理子は──変わり者の多い武偵校の中でも、目立って変わった存在だ。良くも悪くも。しかし、こと情報収集に於いては、秀でた才能を見せてくれる。それこそ、盗聴。盗撮。ハッキング。ネットに関しての知識は人一倍だろう。だから、その情報1つに価値が生じる。


「でも、理子はお礼なんて何も要らないよ?」
「えっ?」


あまりにも予想外だった返答に、衷心から素っ頓狂な声を出してしまった。何故だか理子も不思議そうな顔をして、「うん?」と小首を傾げている。


「えっ、なんで? 理
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