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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最初の大舞台 U
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だから。ここから視認する限りでは、車内にも、その周囲にも、爆弾らしきものは見当たらない。ともすれば、死角にあるはずだ。


「レキ。そこから車体の下を覗けるかい? 何かがあると思うんだ」
『……はい、ありました。C4らしきものです』
「容量は?」
『目測ですが、3500立方センチほどはあるかと』


──3500立法センチ。その量に、アリアと顔を見合わせて動揺しているしかない。
裏を返せば、予想以上のことを、この騒動の主犯者は仕出かしてくれたのだ。流石に異常すぎる。爆発すれば、電車やバスなんて簡単に吹っ飛んでしまうだろう。


「まずいね……」


この状態から車体に張り付いて剥がすのは、正直なところ、危険だね。何故なら──


「レキ、そこから解体しろとは言わない。……剥がせるかな。君の、狙撃で」
『……分かりました』
「うん、頼んだよ」


──真っ赤なスポーツカーが、運転席にUZIを載せて、バスの後ろに追走しているのだから。
そうして、咆哮にも似たエンジン音と共に、そのスポーツカー──ルノー・スポール・スパイダーはバスと並走するような形に移動する。 同時に、UZIの銃口がこちらに狙いを向けた。引き金は既に半分が引かれているように見える。今から全員を伏せさせるのは間に合わないだろう。
それならば、こちらの方が、早い。一刹那にそう確信し、即座に掌を向けて横凪ぎに翳した。


「皆、伏せて!」


叫ぶと同時に、無数の銃弾が、バスの窓を標的にUZIの銃口から放たれていく。しかしそれらは全て、つい今しがた展開させた《境界》によって、跡形もなく消え失せていた。
しかし安堵する暇はまだ無い。ベレッタを抜きざまに、別に展開させた《境界》の中へと撃ち込む。その直後に爆発音を伴って、目の前のUZIは銃口ごと破壊された。
それでもまだ、安堵する暇は無い──が、ここでの最善手が、レキなのだ。

徐にイヤホンから聞こえてくるのは、乾いた銃声だった。それと同時に、レキが乗っているヘリからマズルフラッシュが焚かれたのが分かる。よく目を凝らして見ると、どうやら彼女は片膝立ちの状態から発砲したらしかった。あの不安定な、風の影響を満遍なく受けながら。
しかしルノーは唐突にその並走を止めると、その場で回転してしまった。先程の狙撃で、レキがタイヤに穴を開けたのだろう。何回転かするうちにはガードレールに衝突していた。


「……流石は神童だね」


『──有明 コロシアム の前を 右折 しやがれ です』


例の女子生徒が持っている携帯から、ボイスロイドの声が聞こえてきた。 運転手はそれに従うようにして、ハンドルを回す。依然として速度を落とさず、正確な運転を保ちながら。
早急に
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