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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最初の大舞台 T
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たいところだね」
「……気を付けろよ」
「うん、ありがとう」
心配してくれる2人に笑いかけてから、強襲科棟へと向かって《境界》で移動する。周囲の驚いた調子を、視界の端に掛けながら。出来るだけ小事でありますようにと、祈りながら。
◇
奇しくも、今日は雨。活動するに適した気候でないことは定かだが、万全を期さねばならない。
そうして自身の装備を確認しつつ、女子寮の屋上へと降り立った。アリアが指示したのは、C装備──TNK製の防弾ベスト。強化プラスチックのフェイスガード付きゴーグル。無線のインカムに、フィンガーレスグローブ。ベルトには、拳銃のホルスターと、予備弾倉が4本。
特殊部隊を彷彿とさせるこの格好は、いわゆる『出入り』の際に着込む攻撃的な装備だ。
降りしきる水の粒を手の甲で拭い取り、周囲を見渡す。居るのは、2人。 何やらインカムにがなり立てているアリアと、鉄柵に腰掛けながら狙撃銃を抱えて体育座りしている少女がいた。
珍しいメンバーもいるモノだ──と思えば、それと同時にアリアの着眼点に感心させられた。
ふと、その少女と視線が合う。こうしたのは数ヶ月ぶりかな、と思い返しながら口を開いた。
「……レキもアリアに呼ばれたのかい」
「はい」
返ってきたのは、いつも通りの抑揚の無い声だ。相変わらずだけど、直せと言っても難しいか。
とはいえこの少女──レキは狙撃科の麒麟児と謳われる、こと狙撃に於いては武偵校内で右に出る者は居ないほどの天才だ。その無表情さとミステリアスさ故に『ロボット・レキ』などと呼ばれているが、一部の人間には、彼女のその容貌というものが好評らしい。
そんなレキが装着しているヘッドフォンを、指で軽く叩きながら問い掛けた。
「そのヘッドフォン。いつも何を聞いてるの?」
「風の音です」
「……風?」
「はい」
そうとだけ言うと、レキは抱えていたドラグノフ狙撃銃を肩にかけた。そうして、流れるような動作でアリアへと視線を向ける。ちょうど通話を終えたらしいアリアが、2人に目線を遣った。
「時間切れね……。残念だけど、これでやるしかないわ」
「……何のこと? 今の状況は?」
「バスジャックよ。今朝、男子寮に停まったはずのやつ」
「……面倒なことになったね」
いつも自分たちが乗っているバスだ。とはいっても、今日は《境界》を使って、ホームールーム開始時間のギリギリまで部屋にいたのだが。功を奏した……とは、言い難い。
アリアは小さく頷くと、何やら思案げに話を続けた。
「もう1人くらいSランクが欲しかった所だけど、他の事件で出払ってるみたい。3人パーティーで追跡するわよ。火力不足はアタシと彩斗が補う」
「その犯人は車内に居るの
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