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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
奴隷宣告
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いわよ」
──理由は3つあるわ。と端的に告げたアリアは、3本の指を立ててから、そのうちの1本を折る。指があと2本、残っていた。
「1つ、武偵ランクがSであること、或いは経験者。2つ、何かしらの特殊能力や二つ名を持っていること。3つ、アタシの勘」
条件としては極めて妥当性がある。アリア自らの目標を達成するのに必要なものがあるとすれば、それはなるべく価値のある方が使いやすいのは明々白々だ。それがこれら理由なのだろう。
しかし最初と最後を除いた理由──特殊能力や二つ名を持っていること、というのが気にかかった。《明鏡止水》のことが露呈しているのだろうか。それとも、あの二つ名が……?
次の言葉を身構えているのを、アリアは空気から察したのだろうか。さも愉快そうに口の端を歪めると、「……
玲瓏
(
れいろう
)
」と、小さく諳んじた。「ねぇ、知ってるでしょ?」
いやはや、懐かしいな──と内心でアリアの情報収集の能力に嘆息する。ふっ、と笑みが零れるのを直に感じた。
勿論、知っている。神奈川武偵中学校の強襲科に居た時の二つ名だ。俺とキンジのパーティーの呼称でもあった。玲瓏──美しく澄み切ったさま。そこから非の付け所のないさま、という意味合いを込めて、玲瓏という二つ名で呼ばれていたのだ。
「……何処から調べ上げたの、そんなこと」
「さぁ、何処かしらね? 教えないわ。ふふっ」
悪戯をする子供のような笑みを、アリアは浮かべた。そのままソファーの背もたれに深く身体を預けると、精一杯に腕を伸ばしている。口元から洩れた吐息が、ほんの少しだけ色っぽかった。
アリアという少女の見せた、より少女らしい姿──感じが狂うのを自覚しながら、その意識を逸らすのを目的に、アリアが得た如月彩斗についての情報の根幹について辿ることにした。
──情報科の線が濃厚だろうか。生徒の個人情報は押さえてあるだろうし、そこには如月彩斗という少年の情報も勿論、あるに決まっている。氏名や生年月日や居住地といった基本情報があれば、依頼解決といった過去の経歴もあるだろう。その中に、学歴が含まれていてもおかしくはない。神奈川武偵校中学校に如月彩斗が在籍していたことが分かれば、捜索の幅は狭まる。
とはいえ……過去の二つ名が露呈しようと、特段どうということはない。それ以外に露呈してはならないことの方がある。それに辿り着きさえしなければ、傷にも何にもならないのだ。過去に黒い話を抱えていたとかいうのも、俺には無いからね。
「……ねぇ、お腹空いたぁ」
ある程度のところまで思考を至らせたところに、アリアの声が割り込んだ。間抜けのした、強請りの入った、そんな声。
「さっきコーヒー飲んだろう」
「でもお腹空いたの!」
「……まった
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