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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
奴隷宣告
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常に重大で、その言葉自体が、彼女の一連の行動の意味を為しているようだった。何かがあると──何がなしにそう直感した。


「……ホントに? ホントにいいの?」
「逆に問うけど、どうして嘘をつく必要性があるの?」
「……そう、よね。確かに言われてみれば、そうだわ」
「でしょう?」


何やら興奮しているらしく、身をこちら側に寄せながら執拗に問いかけてくるアリアを宥めてから、2人で揃って苦笑する。年頃の少女らしい可愛らしい笑い顔をしていた。
今のところはまだ、自分がアリアと同じパーティーで武偵活動をすることの何が大切なのかは分からないけれど。まぁ、アリアとしては満足のいく結果に至ったらしいね。

話が一区切りついたところを見計らっていたのか、キンジが中身を淹れ終えたらしいコーヒーカップをアリアに手渡した。芳醇な香りと湯気が辺りに蔓延して、頭上を漂っていく。


「……インスタントコーヒーだがな。ありがたく飲めよ」
「いんすたんとこーひー? 何それ」
「お湯を注ぐだけで淹れられるコーヒーのことだ」
「コーヒーなんてみんな同じ淹れ方じゃない。馬鹿みたい」


2人は一言二言を交わすと、すぐに会話を打ち切ってしまった。キンジは不機嫌になったのか眉間に皺を寄せて、そのままリビングを抜けて行ってしまう。自室にでも籠るのだろうか。
さてはそれすら分かっていないであろうアリアは、その背後を一瞥してから受け取ったコーヒーを1口飲んだ。


「……何これ。変な味。ギリシャコーヒーにも似てるけど……んー、違うわね。ねぇ、これってどんな銘?」
「あいにく、ちゃんとした豆が無いんだよ。今のところは、仕方ないけど……インスタントで我慢してくれると嬉しいかな」
「……む。ドレイのくせに生意気な」


恨めしげに零すと、アリアは一気にコーヒーを飲み干した。カップをテーブルに置いてから手を組むまでの所作が、やけに優美に思えてしまう。こういうのを、『お似合い』というのだろうか。
窓硝子の外の落陽は字の通りに傾いていき、部屋の中も黄昏に染まっていく。訪れた静寂も一瞬に、アリアは口を開いた。


「ねぇ、何でアタシが彩斗をドレイにしたか分かる?」
「……申し訳ないけれど」
「本当に分からない?」


どうせなら、分かっておいて欲しかった──そんな意図をアリアはこの一言に含ませていた。仕方なしに頷くしかない。斜陽が生んだ逆光のせいか翳って見えるアリアの表情は、何処かに物悲しさを帯びているようにも思えた。


「実を言うと、ドレイ候補はもう1人居たの。誰だか分かる? さっきのキンジよ。遠山キンジ」
「キンジが?」
「そうね。でも、アタシは彩斗を選んだ。それには真っ当な理由があるわ。アタシだって無闇矢鱈には選ばな
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