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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
物騒な自己紹介
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よねっ!」


くるり──というような擬音が聞こえてきそうな動作だった。ロリータ風のスカートを靡かせて半回転した理子は、そのままクラスメイトの同意を煽っている。そうして面々は、揃って告げた。


「「「激しく同意」」」
「ほら、多数決でキーくんの負け! 日本は民主主義なので!」


そこに民主主義は関係があるのだか無いのだか、よく分からないけれど──ご機嫌そうに理子はキンジを指さした。流石にストレスで胃が痛くなってきたのか、少し顔付きを顰めている。
うーん……真偽のほどは後回しにするとして、流石に少し遊びすぎたかな。このままだとホームルームも収まらないし──などと考えを巡らせているところに、45口径の轟音が鳴り響いた。

至近距離だった。その発生源へとクラス中の視線が集まる。キンジも理子も武藤も、その他のクラスメイトも高天原先生も、総じて茫然とそれを見遣っていた。よもやよもや── 発砲したのが、まさかの転校生ちゃんであるアリアだったのだから。

彼女の手には2丁拳銃のコルト・ガバメントが握られており、そこから放たれた銃弾は、教室の壁に傷を付けるに至っている。小刻みに震える銃口が、今の彼女の胸の内を物語っていた。伏せているアリアの顔は、前髪に隠されて見えなかった。

流石に理子も早々に発砲されるとは思っていなかったのか、顔面蒼白といった感じで大人しく席へと座った。武藤も同様である。キンジは依然として顔を顰めているし、高天原先生と他のクラスメイトはもはや、存在を空気に移行させかけていた。

そんな中で、空薬莢が落ちる音のみが余計に静寂を際だたせた。呼吸音すらも耳を澄まさなければ聞こえない。文字通り、息を呑むという状況に直面してしまっているのだ。
しかし……まさかホームルームの、しかも自己紹介で発砲とは。初めて見たね。流石の我が担任も涙目だし。


「れ、恋愛なんて……くっだらない!」


その肩は小刻みに震え、頬は怒りのためか羞恥のためか紅潮していた。目元には薄らと涙が浮かんでいたように見える。
そうして、万人の恋愛観を真っ向から否定する言葉を言い放ったアリアは、何故かガバメントの銃口を自分と理子に向けて──、


「アンタら2人……いや、全員覚えておきなさいっ!今度からそういうこと言うヤツには──」


これが、かっわいい転校生ちゃんこと神崎・H・アリアがクラス全体へ向けて発した最初の言葉である。

 
「──風穴開けるわよ!」


物騒なことこの上ない。


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