第四十一話 人と城その六
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「そしてこの度は」
「あの者達か」
「源次郎の配下のです」
十勇士達をというのだ。
「あの者達をです」
「使ってか」
「はい、そして」
「小笠原家の居城の縄張りまでか」
「調べて」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「ではな」
「今その調べたものを出します」
「ではな」
晴信は幸隆が差し出した紙を受け取った。そこには敵の細かい実情が書かれていた。そしてその中にはだった。
地図もあり城の縄張りもあった、晴信はそれを全て観てから言った。
「見事である」
「そう言って頂けますか」
「ではじゃ」
「はい、これよりですな」
「甲斐に幾分かの留守の兵を残してじゃ」
そうしてというのだ。
「諏訪と佐久の兵も合わせて一万でな」
「小笠原家をですな」
「攻めるとする」
こう信繁に答えた。
「そうする」
「それでは」
「お主はわしの副将として来るのじゃ」
出陣せよというのだ。
「そしてな」
「そのうえで」
「さらにじゃ」
今度は家臣達に顔を向けて告げた。
「お主達もじゃ」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「我等も出陣します」
「お館様と共に」
「そうしてもらう、すぐに出陣の用意をせよ。してじゃ」
晴信は今度は飯富を見て彼に告げた。
「先陣はお主とする」
「それがしがですか」
「そうじゃ、そのうえでじゃ」
「小笠原家と戦い」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「戦ってもらうぞ」
「わかり申した」
すぐにだ、飯富は主に応えて述べた。
「さすれば」
「ではな」
「さて、わしもじゃ」
ここでだ、また言った晴信だった。
「出陣じゃが」
「ではですな」
「あの兜を被られて」
「そうしてですな」
「そうじゃ、その時が来た」
まさにと言うのだった。
「だからこそな」
「ですか、では」
「我等そのお館様と共にです」
「勝ちます」
「是非共」
「それではな」
晴信はすぐに家臣達に出陣を命じてだった、一万の軍勢を動かしてそうして小笠原家との戦に向かうことにした。その直前にだった。
家臣達を宴に招き酒を飲んだ、その時に言うのだった。
「今宵は飲むのじゃ」
「酒を」
「心ゆくまでですな」
「そうじゃ、飲んでじゃ」
そしてというのだ。
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