第百三十八話
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第百三十八話 バイロンという人
カーミラは雪路に欧州の同性愛について話した、そしてその中で彼女が今読んでいる詩集の著者バイロンについても話した。
「美貌の貴族でもあったのよ」
「そしてインテリでもあったんですね」
「詩も書くね」
「何か素敵な人ですね」
「ここまではね」
ここでこう言うのだった。
「そう思えるわね」
「と、いいますと」
「確かに美形だったわ」
バイロンについてだ、カーミラは他ならぬ彼女自身の記憶から語ったが雪路はカーミラが普通の人間だと思っていたのでただ聞くだけだった。
「そのことはね、ただ性格はね」
「どうだったのですか?」
「悪い一面もあって」
「そうだったんですか」
「傲慢で怠惰だったのよ」
「あっ、そのことは」
雪路もその話を聞いて頷いて言った。
「私も聞いたことがあります」
「そう、知っていたの」
「はい、美男子だったそうですが」
「それでもね」
カーミラは彼女が会ったバイロンのことをさらに話した。
「貴族の中でも傲慢でね」
「そうしてですね」
「怠け癖があって女好きでね」
「同性愛者でもあって」
「そうして不道徳でもあったわ」
「何といいますか」
そう聞いてだ、雪路は考える顔になって言った。
「色々問題のあった人ですね」
「人間としてはね」
カーミラはここでは吸血鬼として語ったがやはりそれは雪路に対しては全く気付くことはなかった。
「そうだったのよ、何かとね」
「そうした面があって」
「かつて彼に仕えていた人がモデルにしてね」
バイロン、彼をというのだ。
「吸血鬼に書いているのよ」
「バイロンは吸血鬼にもなっていますか」
「そうよ、それは文学にも残っているし」
「バイロン自身も詩人で」
「彼は吸血鬼にもなっているのよ」
「美形の吸血鬼にですね」
雪路はバイロンがそうであったことからこう考えて言った。
「そうですね」
「ええ、そうだったわ」
「それはまた面白いですね」
雪路はカーミラのその話に興味を持った、するとここでカーミラは彼女に朝食の時間になったことを告げた。
第百三十八話 完
2019・3・4
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