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ある晴れた日に
317部分:その日からその十三
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その日からその十三

「あの縦縞のユニフォームが忘れられないそうね」
「ちぇっ、チームの雰囲気ならスワローズが一番じゃねえかよ」
「そうよ」
 ヤクルトファンの女の子二人はこう言うがかなり劣勢なのは自分達もわかっているようでその言葉はかなり苦しく追い詰められたものであった。
「いつも仲良く和気藹々ってな」
「それがスワローズだから」
「阪神は違うんだよ」
 坪本は実に誇らしげに宣言するのだった。電車の中にいながらまるで独裁者の演説のように自信に満ちている。しかし手の動きはゆっくりとしている。
「阪神はな。絵になるんだよ」
「どんな勝ち方をしても負けてもね」
「そうだよ、その通りだよ」
 坪本は桐生の言葉にも誇らしげに返していた。
「阪神は何があっても絵になるんだよ」
「それは認めるわ」
 明日夢は憮然として話を聞いていた。
「阪神はね。どんなふうに勝っても負けても何故か絵になるのよね」
「そんなスポーツチームは阪神だけだ」
 坪本の演説は続く。
「それでイグアナの名前はオマリーにしたんだよ」
「それでなのね」
「何か長い前置きだったな」
「イグアナでも何でもやっぱり阪神の名前が一番いいんだよな」
 彼の言葉はさらに続いていた。
「虎だとな。例えば犬にバースとかな」
「それ本当にいるからな」
「実際にね」
「俺の家の犬もその名前だぞ」
 今言ったのは野本だった。
「バースな。親父が名付けたんだよ」
「親父さんがなの」
「そうだよ」
 彼もまた皆に話すのだった。
「親父もやっぱり阪神ファンだからな。他にカーランドも考えたらしいけれどな」
「バリバリの虎で」
「先祖代々からそうなんだよ」
 野本は言いながら胸を張ってきていた。
「それこそずっとな」
「何かそれも凄いわね」
「そうだろ?で、こいつもな」
 少しうんざりとした顔で従兄弟を指差すのだった。
「虎なんだよな、全然そうは見えないけれどな」
「それがおかしいのかな」
「おかしいも何もそんな顔じゃねえだろ」
 また随分と無茶なことを言っていた。
「しかもトランクスだって虎柄のあるしよ」
「下着は心だから」
 意外とそういうところにも心を配る竹山であった。
「だから虎のも持ってるよ。それで絶対にトランクスなんだ」
「まあブリーフなんてはいてたら俺が替えさせるがな」
 何故かそれは嫌う野本だった。
「変なホモ漫画じゃあるまいしよ」
「実はこの人ホモ漫画をネットで見て物凄いトラウマ持ってるんだ」
「あれは最悪だったぜ」
 あからさまに嫌な顔を見せて皆に語る野本だった。
「もうよ。やらないかだのウホッだのな」
「っていうかそんなの見る方がおかしいじゃない」
「そりゃおめえが悪いだろ」
「後悔してるさ
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