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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最悪と災厄
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る。打開策を見付けたのにミスをして爆死なんて、御免蒙りたいからね。
幾つか思い付いた中から最も確実なものを選択し、ある程度のシミュレーションを試みている、途中──唐突にキンジが虚空を指差し、何事かを叫び出した。瞼を細めて凝視する。


「彩斗、あれ見ろ! あそこの──武偵校の女子寮の屋上だッ」
「んー……。女の子? 奇抜な風貌だけど、初見だね」


細まった視界に飛び込んできたのは、女子寮の屋上の縁に立つ1人の少女だった。ピンク色の髪をして、その髪をツインテールに束ねている。焦点が合ったのか遠目にもよく見えた。迷いなく屋上のその縁に足を掛けた彼女は、どうやらあの高さから飛び降りようとしているらしい。

何故──と訝しむ暇さえ与えず、少女は虚空に身を踊らせる。そのまま自由落下するかと思われた彼女の後を追尾するように、滞空準備させてあったらしいパラグライダーを空に広げていった。髪と制服とを靡かせ、彼女は果たして何処に向かうのか──という考えが脳裏に過ぎる。その滑空速度もまた、異様だった。


「まさか──」


あの速度と軌道は、間違いない。こちら側に接近してきている。その距離が、目測で僅か十数メートルほどになった。このままだと衝突の危険があると察したらしいキンジは、少女へと叫ぶ。
 

「危ないから来るな! この自転車には爆弾が──うわっ!」


少女は気流を上手く掴んでパラグライダーの方向転換を図ると、左右のレッグホルスターから2丁の大型拳銃を抜いた。眼光鋭くキンジを睨み付けたのも一瞬のこと、その不安定な虚空に晒されながらも、銃の照準を合わせることに意識を傾注させたらしい。
手にしているのは45口径、コルト・ガバメントだろうか。華奢な身?の少女がそんな銃を扱うとは、到底思えなかった。


「ほら、そこのバカ共! さっさと頭を下げなさいよ!」


少女はそう叫ぶが早いか、問答無用で2基のセグウェイを銃撃していく。自分たちの頭の下げるのも、ろくに待たないで。45口径の轟音と少女の金切り声とが相まって、実に勝気な印象を彼女のその風貌から抱かされた。

その少女が悔しそうに眉を顰めたのを見て、反射的に後ろを振り返る。どうやら1基は破壊出来たようだが、もう1基はまだ追いかけてきていた。仕留め損ねたことを悔いていたのだろう。
……としても、拳銃の平均交戦距離は7mと言われている。だが、少女とセグウェイの距離はその倍以上あった。気流を上手く捉えているとはいえ、不安定なパラグライダーから、おまけに2丁拳銃の水平撃ち。 2丁拳銃は自分も出来るが、パラグライダーからの銃撃は予想してはいなかった。


「……上手い」


強襲科Sランクの自分から見ても、相当の射撃の腕だ。あんな子が、今まで武
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