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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最悪と災厄
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は見られない。
そしてよくよく観察してみると、ある異変に気が付いた。


「キンジ、あれ見て。銃」
「UZIか。……こりゃ面倒だな」


無人セグウェイの人が乗るべき場所には、何の目的かUZIが取付けられていた。傍らには小型スピーカーも見受けられる。つい先刻のボイスロイドの音声は、そこから出力されたのだろう。
そんな珍妙なセグウェイが、自分たちの自転車2台と全く同じ軌道で、2基とも追走してくる……さぞかし珍妙な光景だろう。


『チャリを 降りやがったり 減速 させやがると 爆発 しやがります』


文節ごとに区切ったような拙い音声をしていた。
にしても……音声だけの珍妙セグウェイなら、どれほど良かったことか。セグウェイだけならまだしも、そこにUZIを取付けるあたり──これにはもう、殺意しか感じられない。 UZIという短機関銃を選択したところにも、それが垣間見えていた。

そもそもUZIというのはイスラエルのIMI社の傑作品と言われている。秒間に10発もの銃弾を発射できる、かなり集弾性が高い、近距離特化型の短機関銃として名を馳せていた。武偵校の中にも愛用者は少なくない。それほどの能力があるのだ。

自分もキンジも、置かれたこの状況を理解しすぎるほどに理解していた。そうして、どれほど身動きの取りにくい、不利な状況下に置かれているか──というのも、また理解している。


「何の悪戯だよ、これッ!」
「怒鳴り散らしても無駄だよ。どうせ操縦者はこの辺りには居ないだろうから。仮に何処かで聞いていたとしても、この行為に愉悦感を与えるだけでしょう。キンジも武偵なら冷静に対処しなさい。探偵科に移動してその能力が鈍ったとは言わせないよ」
「冷静に、って……どうしろってんだ」


そこまで言うんなら対処方法はあるんだろうな──そう言いたげなキンジの視線を受けて、小さく頭を振る。「いいかい、まずは状況の分析だよ」と切り出した。


「──サドルの裏、触ってみて。……分かる? プラスチック製のケースだとは思うけれども、これが爆弾だろうね。ご丁寧なことに、ここにもキンジの自転車にも付けられてる。このセグウェイと爆弾とを結びつければ、武偵殺しの模倣犯と考えるのが賢明かな」


「まさか本当に、こうして間見えるとは思ってなかったけどね」そう言って零した笑みを自分で反芻してみると、磊落なそれにも、苦笑にも思えた。キンジは前者に捉えたのだろうか。「笑ってる場合じゃねぇだろ!」などと自分に向かって怒鳴りかけるくらいには、やはり焦燥していた。


「対処方法は考えてるから少し辛抱して。決して速度の増減をしないように。平静を保ってね。いいかい? ……よし」


キンジに向けたその忠告は、勿論、自分にも向けてい
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