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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
序章
二重奏の前奏曲 U
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出すことが出来るのだ。
つまり、意図して行ったというわけではないにしても──キンジの身に《《そういうこと》》は起こってしまったこととなる。彼はそのことを今となっては感謝していた。
対して彩斗の《明鏡止水》は、《緋想》を抜刀した時のみに発動される。《緋想》は妖刀と呼ばれる中でも封印刀の一種であり、それが抜刀された時は、《明鏡止水》の解放と彩斗自身が持つ《《陰陽術》》の増強を意味していた。如月彩斗の始祖である平安時代の陰陽師──安倍晴明から代々と継がれてきた
業
(
わざ
)
だ。
彩斗自身が元来持っている能力に、《明鏡止水》が付与される。キンジ自身が元来持っている能力に、HSSの加護が降る。
自分自身でその恩恵を理解しているからこそ、キンジは彩斗と交えたくはないのだ。相手の強さというものを知っているから。
「安心していいよ、キンジ。今なら合格は確実だ。だから存分に負けていい。それは認めるから。ね?」
「ちょっと待て、何で闘う前提で話を進めてるんだ」
「えー、やらないの?」
「……出来ればやりたくねぇって言ってるだろ」
軽口を叩く彩斗は、この状況を素直に楽しんでいるようにキンジには見えた。何度目かの遣り取りの後に、溜息を重ねる。
やれやれと天井を仰ぎ見た時、陽光を反射する何かが彼の視界の端で姿を見せた。果たして彩斗は気付いているだろうか。
あぁ──やっぱり、闘わなくちゃならないかもな。嫌でも。
気の進まないままに、キンジはそれを指差してみる。
「なぁ、彩斗。俺は今まで気が付いてなかったが、お前は気付いてるか? ……各所の監視カメラだ。恐らくだがあれで監視してるんだろうな。俺たちのことを。まぁ、レプリカかもしれないが」
「……ふぅん、本当だ。力量があっても、態度によっては不合格ってことも有り得るのかな。じゃあ──始めようかしら」
天井を見渡しながら、彩斗は軽率に告げた。そして間髪入れずにべレッタの引き金を引くと、キンジの頭部目掛けて発砲する。
キンジにとっては平生の致命傷でも、今となってはHSSの動体視力の加護がある。その軌道は、視えていた。
上体を反らすことで避けることは容易い、そうしたら起き上がった反動でフルオート射撃をお見舞いしてやろうと思ったのだが──ここまでは容易にはいかないらしいな、と眉を顰めた。
いつの間にかキンジの懐にまで肉薄し、背を屈めた彩斗は《緋想》を逆袈裟に振りかぶってくる。「身体を起こしたら、そのまま斬るぞ──」と言わんばかりに。
仕方なくそれを宙返りで避け、当たれば御の字と顎目掛けて蹴りを放つ。感触が感じられないことを確認しながら着地したキンジは、銃口を彩斗の防弾制服へと向けて引き金を引いた。
右螺旋状に回転する銃弾は、その軌道のため
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