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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
序章
二重奏の前奏曲 T
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──こんな世界、と嘆く者。
──面白味の無い日常、と嘆く者。
──生きる理由など無い、と嘆く者。

そんな人間が、この日本のみならず、世界各地に居る。
この世界に絶望し、生きる理由さえも無いと嘆き、にも関わらず、否、それ故に、生に渇望する者が。
平安時代……否。日本史上最強の陰陽師と謳われる安倍晴明の血を引く少年、如月彩斗も、それを感じていた。
曰く、面白味の無い、無味乾燥とした日常だと。

だから彼は、なることを決めたのだ。平凡な日常を打破し、非日常に足を踏み入れるために。……その名も、武装探偵。通称『武偵』と呼ばれる国家公務員である。
彼ら彼女らは帯銃帯刀を認められ、民間からの依頼及び数々の事案を受け持つなど、警察に準ずる活動が出来るのだ。場合によっては、『何でも屋』と揶揄されることも少なくない。

武装探偵こそが、彼が望んでいた職業。日常から一線を画した、非日常へと通ずる世界観。それを叶える為に彼は、東京武偵校への入学試験へと足を運んでいるのだ──。







「──そこまで」


無機質な声色を耳に入れた俺──如月彩斗──は、即座に俯せていた顔を上げる。それとほぼ同時に、教室内の筆記音が止んだ。
壇上から降りた教官が一歩ずつ床を踏む音が響き、個々人の答案用紙を回収していく。紙の翻る乾いた音もまた、それと相まって断続的に鼓膜を震わせていった。妙な緊迫感を孕んでいた。
そんな音の重奏を背後に、俺は小さく安堵の溜息を重ねる。窓硝子から射し込む陽線を、半身に受けながら。

つい直前までやっていた筆記試験は、東京武偵校の入試問題の1つだ。『武装探偵』という国家公務員を育成する高校だからこそ──校則で帯銃帯刀を認めているとはいえ──名目上は高等学校の筆記試験なのだ。とはいえ偏差値が45に満たないのは流石に国家公務員の育成機関として如何なものかとは思うが、自分自身が望んで選んだ道だ。今更、後悔はしていない。


「よし、それじゃ──」


教官は答案用紙を全て回収し、枚数を数え終えたらしい。指先で紙の四隅を整えると、教室内の面々を見渡してから口を開いた。


「この後は実戦試験を行う。徒手格闘(CQC)形態のバトルロワイヤル──と言えば分かりやすいか。
ルールは簡単だ。全部で20階層ある試験会場にお前らを配置するから、お前たちは適当に見付けたヤツを倒せば良い。背中が床につくか、もしくは自分で投了した時点で失格だ。
んで、徒手格闘、銃剣類を主として闘え。実弾は使用不可能だ。事前に非殺傷弾(ゴムスタン)を渡しておいたハズだから、それを使うように。いいな? ……うん、よし」


「じゃあ、さっさと移動しろ」と告げた教官を横目に、俺は事前に場所を教わっていた試
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