儚い命、強固な愛
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り少年1人を担いで、更に奥へと進んで行く。
最初に目を覚ましたのはアルルだった…
周囲を見回すと、そこは美しい地底湖の畔…
そして少し離れた所にリュカが佇み、何かを読んでいる。
慌てて他3人を起こすアルル。
それに気付いたリュカがアルルに手紙を手渡した。かなり古い手紙だ…
その手紙には【お母様。先立つ不幸をお許し下さい。私達はエルフと人間。この世で許されぬ愛なら…せめて天国で一緒になります。 アン】と…
「これって…」
「…エルフの女王の娘…アンの最後の言葉だ…そこの宝箱に、ルビーと短剣…それとその手紙が入ってた…」
リュカの頬を涙が伝う…
リュカだけではない…皆、涙がこぼれ出る…
「様子を見守るだけで良かったんだ…誰でもいい、エルフでも人間でも…親が意固地に反対しなければ…そうすれば…死ぬ事なんて…」
「帰りましょ…そして女王様とイノックさんに伝えないと…」
アルル達は洞窟を後にする…沈痛な面持ちで。あのリュカですら…
<エルフの隠れ里>
アルル達は再度エルフの女王の宮殿へ赴いた。
入口にはカリーの姿がある。
「リュ、リュカ…また来たのか…もう、女王様には会わせぬぞ!」
リュカは悲しい表情のまま、懐から古びた短剣を取り出しカリーに見せる。
「これ…君のだろ…君の名前が彫ってあるよ…アンに渡したのかい?」
それは洞窟でアンの手紙と一緒に入ってあった短剣だ。
「こ、これは!?私がアン様にプレゼントした『聖なるナイフ』だ!ど、何処でこれを?」
リュカは事の顛末をカリーに話した…
「そんな!アン様が…(うっ)…アン様が!!」
カリーは短剣を抱き締め、泣き崩れた。
そしてリュカ達は女王の元へと歩み出す。
「また来たのか!?不愉快な人間め!」
不快感を露わにする女王に、アルルは夢見るルビーを差し出す。
「そ、それは!?いったい何処でそれを?」
リュカは黙って手紙を渡した。
女王は手紙を読み始めると、体を震わせて泣き出した…
「私が認めなかったばかりに…私が…(うっうっうっ)…アン…ごめんなさい…アン!!」
ただ黙っていることしか出来なかった…
女王を責める事も、慰める事も出来ず…
リュカ達は目を伏せ、一緒に悲しむ事しか出来なかった…
「世話になったな人間よ…いや、リュカと申したな。カリーから聞いたぞ」
「………ノアニールの件ですが…」
「うむ。これを持って行くが良い」
リュカは女王より、粉末の入った袋を受け取った。
「それは『目覚めの粉』よ。その粉を風に乗せてノアニールに撒けば、呪いの効果は消え去り、皆目覚めるでしょう」
「ありがとうございます」
「それと、今宵はこの村に宿泊してゆきなさい。もう夜も遅い…もてなす事はしませんが
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