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消えた仙人
第五章
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「森も主に挨拶してか」
「あのグリーンドラゴンやじゃな」
「そや、挨拶をしたら」 
 そのドラゴンにというのだ。
「移動の術で街そして家に帰るで」
「せっかちじゃのう」
「誰のせいでそうなってるんや」
 王は仙人に怒って言った、郁は怒っていないが呆れの度数を増していた。だが術を使ってそのうえでだった。グリーンドラゴンへの挨拶も間に済ませて。
 二人は仙人を合肥まで連れて行って。
 ギルドで仕事の依頼を証拠となる仙人を連れて来てそうしてだ、彼を彼の家まで案内してだった。彼が家族から雷を受けるのを見届けてから。
 仕事を終えた祝いにだった、王は郁を安徽省特有の川魚や野菜、山菜を使った料理の店に連れて行った。
 中国産の白ワインを注文し中国ハムとスッポンのの込み、竹の子と雉の醤油煮、ハクビシの醤油煮るそれぞれ火腿燉甲魚、雪冬燒山?、紅燒果子貍に鯉の刺身そして葡萄魚つまりアオウオの唐揚げ葡萄ソースがけに糯果鴨條即ち家鴨と銀杏と餅米の蒸しものに饅頭そしてデザートにタピオカミルクを頼んでだった。
 二人で飲み食いを楽しんだ、その時にだった。
 王の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「秦淑宝の鞭か」
「唐代初期の名将でしな」
 その名を聞いてだった、郁も言った。
「鞭の使い手でした」
「その鞭や」
 見れば中国の鞭だ、柄がある剣位の大きさの鉄の棒で幾つもの節がある。中国ではこの武器も鞭なのだ。
「これは凄い武器やで」
「抜群の威力があるでしな」
「没羽箭に加えてな」
「その鞭も手に入ったでしか」
「神具としてな」
 王は郁に心の中で言ってくる言葉を話した。
「僕のもんになったわ」
「それはいいことでしな」
「そしてな」
 王はさらに言った。
「神託を乗り越えて」
「そうしてでした」
「心の中に言葉が言ってきてるし」
 神具のことと共にというのだ。
「そして僕自身もな」
「感じてるでしか」
「このことをな」
 スッポンを食いつつだ、王は答えた。鶏に似た味だがゼラチンが効いていて独特の美味さがそこにある。
「今実感してるわ」
「それは何よりでしな」
「それでな」
 今度は白ワインを飲んでだった、王は語った。
「今はお祝いで飲んで食ってるけれどな」
「それが終わったらでしな」
「その時はな」
「わかってるでしよ」
 郁は家鴨を食べつつ友に応えた。
「僕ちん達はやることがあるでし」
「そやからな
「食べて飲んだ後は」
「次の目的の場所に行くで」
 こう言ってだった。
 王は郁と共に今は安徽省の料理を楽しんだ、川や山の幸は非常に美味だった。それで英気を養いまた先に進むことを見据えていた。


消えた仙人   完


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