第7章:神界大戦
第204話「苦戦の中の幸運」
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……いつでも!」
とこよも待っていたかのように答える。
「何を……」
「鈴さん、ちょっとだけ退けて!」
「っ、分かったわ!」
―――“霊撃”
鈴のみ、何をするのかわかっていなかった。
しかし、それでも何か策があると見て、とこよの指示通りに周りにいたキクリエの大群を霊力で吹き飛ばした。
「一体何を……」
動きを変えてきた事に、キクリエも気づく。
しかし、一手遅い。余裕を持っていたために、慢心していた。
「分身して殲滅しきれないなら」
「中心から侵していけばいい!」
―――呪刻“瘴紋印”
鈴も見た事がない術式が、とこよと紫陽の体に刻まれる。
似たような術式……刻剣であれば見た事はあった。
だが、それは剣に刻む術式であり、瘴気ではなく呪属性でしかない。
「(まさか、瘴気を……!?)」
鈴の予測は当たっていた。
とこよは近くにいたキクリエの一体を一刀両断する。
当然のように分裂するキクリエだが……
「っ、が……!?何を、した……!?」
「攻撃一つ一つじゃダメでも、分裂前の個体が蝕まれてたら分裂してもそのままでしょ?」
瘴気に蝕まれた体で分裂しようと、瘴気はそのままだ。
これ以上増えたとしても、それは変わらない。
「毒でもよかったんだけどねぇ。そっちだと体内を浄化してしまえば解除されてしまう。だったら、その魂、存在そのものを蝕む瘴気であれば……って算段さ」
「くそ……!」
瘴気を纏った風の刃が、次々とキクリエの大群を切り刻む。
その度に分裂しようとするが……分裂して二体に増えても、その二体とも瘴気に蝕まれており、完全に無意味だった。
そのため、分裂は止まり、普通に再生させていた。
「毒にしなかった理由はもう一つ。……その分裂、所謂“細胞分裂”に近いよね?名前に込められた言霊も、細胞に関しているみたいだし……だったら、癌のように蝕む瘴気の方がいいって判断したんだよ」
「(なるほど……幽世の存在で、瘴気を扱えるからこその、策……!)」
二人の考えに、鈴はただただ感心した。
名前にも意味は込められており、それを言霊として二人は情報を読み取った。
理力を感知できる今だからこそ、神界の神であろうとそれは可能であり、そこから細胞に関する事と細胞分裂を繋げ、瘴気を“癌”としてキクリエを蝕んだのだ。
「なぁああ……!?馬鹿な……!こんな、こんな……!?」
そして、その策は二人が考える遥か上を行く程に、効果的だった。
神界の神は概念そのものを形にしたようなもの。
とこよ達の予想通り、細胞に関連するキクリエには、この上なく効いたのだ。
「予想以上に効いて
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