第7章:神界大戦
第204話「苦戦の中の幸運」
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「倒せる訳ではない、か?」
「なっ……!?」
刹那、転移魔法で肉薄した優輝が、カエノスに拳を叩き込む。
一撃一撃が早く、鋭くカエノスの急所を打ち抜いた。
……性質の効果で、倦怠感が優輝を襲っているのにも関わらず。
「その性質による倦怠感は、なんの前触れもなく、防ぐのは困難を極めるだろう。しかし、その後は別だ。……僕が“大した事ない”と断じれば、この程度話にならん」
「ッ………」
要は、優輝は倦怠感を食らった上で、カエノスを打ちのめしているのだ。
「残念だったな?僕に感情があれば、ここまでとはいかなかったぞ?」
「かはっ!?」
目や鼻、喉だけでなく、関節も打ち抜き、バランスを崩させる。
よろめいた所をすかさず蹴り上げた。
「神界において、相手を倒すには“意志”を挫く必要がある。……覚悟しろよ?」
「お兄ちゃん、何を……?」
それは、もはや暴力や蹂躙ではなく、解体だった。
一撃一撃がカエノスの急所を捉え、容赦なく致命傷を与えていく。
さらに、その攻撃一つ一つに打ちのめす“思念”が込められていた。
アリシア達が放った一心閃と似たようなもので、確かにダメージを与えていた。
「(あー、私の出番終わったかも)」
まさに残虐ファイトと言わんばかりの優輝の猛攻に、緋雪は悟る。
感情消失による合理的判断と、敵の直接戦闘力が優輝より低い事実。
その二つにより、もう自身が手を出す必要はないとわかってしまったのだ。
「ひ、は、この……!」
カエノスもただやられているだけではない。
神界であれば、多少手も足も出ない状態でも無理矢理反撃できる。
……しかし、それこそ優輝が狙っていた行動だった。
「っ、ぉ……?」
反撃が逸らされ、掌底が頭を打ち抜いた。
導王流はカウンターが主な技だ。普通に攻撃するよりも、そちらの方が威力が出る。
「ぉ、ぁっ!」
カウンターを打たれてなお、カエノスは攻撃をやめない。
どの道、攻撃の嵐から抜けるには、流れを一瞬でも止めなければならなかったからだ。
ただの物理攻撃だけでなく、性質を利用した攻撃も行う。
「甘い」
だが、悉くカウンターが決まった。
普通の攻撃は逸らされ、より強い一撃が。
水の刃は躱され、ほぼ同時に躱す体捌きを利用した蹴りが。
重力操作は、体が飛ぶ際にカエノスの体に手足を引っ掛ける事で引き裂くような一撃が。
力の減衰は動きに緩急が付く結果となり、知覚外からの一撃が返ってきた。
「運がなかったな。僕を相手にした事。それがお前の敗因だ」
「が……ぐ……!?」
全ての反撃が、一連の流れのようにカウンターで返される。
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