第七十七話
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
れば検討はついていた。
しかし、昼はこき使われ、夜の時間は全員外鍵しかない部屋に閉じ込められるため、救い出すことはできなかった。
さらに言ってしまえば、逆らえば適当な艦娘を殺すとまで宣言しているような提督だ。強硬策も取れなかった。
その後悔が、私だけの力で助けられなかったという後悔が、私の中で渦巻いていた。
「……なぁ、大和」
そこまで言って、言葉が出なくなってしまった。
私は直前まで、この三年間の思いを告げようと考えていた。
後悔も、苦痛も、苦悩も、できる限り伝えようと思っていた。
だけど、出てこない。
どれだけ話そうとしても、何も出てこない。
「ふっ……ぐうっ……くうぅ……」
出てきたのは、同年代の少女と比べても、全く可愛げのない嗚咽だった。
「……すま、ないっ…………ほんとうは、泣きたくなんかっ………!」
歯を食いしばり、腹に力を入れて、必死に涙を堪えようとする。
……しかし、私の涙は、留まることを知らなかった。
「いぎでで……よがっだ……っ、ほんどうにっ……よがっだ……っ!」
その涙を拭うことなく、私は大和の手を握った。
普通より少し低い体温が、少し前まで彼女が過酷な環境に居たということを表していた。
「……すまないっ……なぐのはごれでっ、ざいごだからっ……!」
何も出来なかった私は、ただただそう謝るしかできなかった。
大和の手は、私が握ってから、温かさが戻っていた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ