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艦隊これくしょん〜男艦娘 木曾〜
第七十七話
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れば検討はついていた。
 しかし、昼はこき使われ、夜の時間は全員外鍵しかない部屋に閉じ込められるため、救い出すことはできなかった。
 さらに言ってしまえば、逆らえば適当な艦娘を殺すとまで宣言しているような提督だ。強硬策も取れなかった。
 その後悔が、私だけの力で助けられなかったという後悔が、私の中で渦巻いていた。

「……なぁ、大和」

 そこまで言って、言葉が出なくなってしまった。
 私は直前まで、この三年間の思いを告げようと考えていた。
 後悔も、苦痛も、苦悩も、できる限り伝えようと思っていた。
 だけど、出てこない。
 どれだけ話そうとしても、何も出てこない。

「ふっ……ぐうっ……くうぅ……」

 出てきたのは、同年代の少女と比べても、全く可愛げのない嗚咽だった。

「……すま、ないっ…………ほんとうは、泣きたくなんかっ………!」

 歯を食いしばり、腹に力を入れて、必死に涙を堪えようとする。
 ……しかし、私の涙は、留まることを知らなかった。

「いぎでで……よがっだ……っ、ほんどうにっ……よがっだ……っ!」

 その涙を拭うことなく、私は大和の手を握った。
 普通より少し低い体温が、少し前まで彼女が過酷な環境に居たということを表していた。
 
「……すまないっ……なぐのはごれでっ、ざいごだからっ……!」

 何も出来なかった私は、ただただそう謝るしかできなかった。
 大和の手は、私が握ってから、温かさが戻っていた。

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