第七十七話
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…は?」
「不知火ちゃんが、壁を経由して天井を走って、加古さん達の頭上を通過!三階に上がろうとしています!!」
詳しく説明されても、根本が説明されてないから全く分からなかった。
「……もしかして、不知火もかなり天才チックなのかな……」
人が艦娘になった時、肉体の潜在能力が向上するのだが、その幅はピンからキリまで。木曾のような化け物から、間宮さんのような人まで。
一般的には、冬華クラスから『天才』と呼ばれたりする。
「ど、どうします!?」
「……加古と阿武隈に、ロープを使って四階まで登るよう指示。二階メンバーは急いで各階段の封鎖」
「了解!」
そこまで指示を出したあと、僕は椅子から立ち上がる。
「ちょっと表にいるよ。来てもいいようにね」
春雨にそう告げて、僕は扉の外に出る。
「……気合い入れるよ」
「はいっ!!」
僕らは気合いを入れ直した所で、缶蹴りは後半戦に入った。
─数分前─
追っ手の夕立をまいた私は、その足で医務室の前までやって来ていた。相手は寝ているとのことだが、どうにも緊張してきてしまう。
「……三年ぶり、か」
三年前──私達の前に現れた、前提督。
アイツが、この佐世保鎮守府をズタボロにした。
大和を軟禁し、私達を捨て駒のように……いや、捨て駒として使い、己の私利私欲の為だけにこの鎮守府を使った男。
今は、ほかの提督からの弾圧もあったのか、懲戒免職となったのだが、その後に残ったこのどうしようもない状況。
そこに来たあの四人は、最初に見た時から、私達とは違うと、肌で感じていた。
頭のネジが何本か飛んでそうな夕立。
恐らく『始祖』であろう春雨。
男なのに艦娘にな木曾。
そして、新しい提督──。
「……はっ」
どうにも、私には男二人が信用出来なかった。
人であった頃から艦娘になってまで、男という生き物を信用せずに過ごしてきた人生だった。
人として出会った男も、ここで出会った前提督も、どちらも外道だった。
「そこから逃げるために、ここに来たのにな……まあ、それはどうでもいいか」
私は意を決して、扉を開ける。
「…………大和」
ベッドの上に横たわる、数年前よりやつれて様子の女。
見るもの全てを魅了するような容姿と、完璧なる肉体美。
紛れもない。彼女は──戦艦大和。
呉の『魔神木曾』が現れるまで、『最強』のに文字を欲しいままにしていた、私の師匠、大和だった。
「……久しぶりだな」
穏やかな寝息を立てて眠っている大和の姿を見て、自然と口からその言葉が出ていた。
大和がどこにいるかと言うのは、三年もあ
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