少年の狙いは・・・
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「あなたを愛せばあなたを殺せる。心のそこから愛しく思えばあなたを殺せる・・・それが・・・作戦・・・だったのに・・・」
「メイビス」
「本当は死んでほしくないんです!!ずっと二人いたいのです!!」
目から零れ落ちる大粒の涙。その姿にゼレフは自身がこれまで格闘してきた矛盾の呪いの解決策に笑みを浮かべていた。
「人を愛しく思えば思うほど相手の命を奪う《矛盾の呪い》。そうだったのか・・・答えは愛されることだったのか・・・」
少女の自身を思う気持ちに嬉しさすら感じているゼレフ。その彼に寄り添い、メイビスは声を上げて号泣している。
「ありがとう、メイビス。ごめんね」
「死んじゃダメ!!憎い!!憎い!!あなたなんか大っ嫌い!!」
彼に対する思い当たる恨みを声に出していくメイビス。しかし、言葉と思考がかけ離れていることは、彼女も・・・目の前の青年もその事には気が付いていた。
「死んで」
真逆のことを言い、ゼレフと唇を合わせるメイビス。それに彼は驚いていたが、顔が離れ、視線があった少女の顔を見て涙が零れ落ちた。
「僕は・・・幸せ・・・だよ・・・君の・・・おかげで・・・眠ることができそうだ・・・」
他人の命を尊く思えば思うほど命を奪う魔法・・・その効力により、二人の体が次第に消えようとしていた。
「ずいぶんと自分勝手な判断だな」
「「!!」」
その時だった。彼が姿を現したのは。
「自分たちが起こした戦争の結末も見ないとは・・・無責任極まりないな」
体に悪魔の刻印が刻まれ、真っ黒な翼を広げた水髪の少年が、二人だけになったギルドの中へと入ってくる。
「シリル・・・」
「その体・・・」
異様なプレッシャーを放っている少年に目を見開くメイビスとゼレフ。呆気に取られている二人に不敵な笑みを浮かべて近付いてくるシリル。
「・・・」
動けなくなっている二人の顔を交互に見て、ニヤリと笑みを浮かべた少年は、二人の頭を鷲掴みにする水の竜。
「なるほど・・・こっちに魔力を持っていかれているようだが・・・」
メシメシと嫌な音が聞こえてきそうなほどに強い力で二人の頭を握るシリル。そこに、先ほどこの場を離れていった火の竜が大急ぎで戻ってきた。
「何やってんだ!!シリル!!」
ゼレフとの激しい戦いを繰り広げた青年の怒声。その口からは思わず血が飛び出るほどだったが、それを気にするものは誰もいない。
「ナツ・・・簡単なことだよ」
痛みに苦しむ二人を掴んだまま、ナツへと視線を向けるシリル。その目の光のなさに、思わず彼は体を震わせた。
「初代の・・・いや、二人の体にある妖精の心臓を取り出す」
その悪魔じみた表情にその場にいた全員の
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