少年の狙いは・・・
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」
予想外の素直な回答にちょっと困惑。だが、彼の目を見るとすぐに集中力を高めた。
「だが・・・これでいい。お前との命の削り合いこそ、俺の人生の最高の時間なのだから」
徐々にその力を出してきたティオスに心を踊らせる天海。対するティオスも、自身の眼前に来ている目標達成のために、意識を高めていた。
ダンッ
クリスティーナから投げ出されたカミューニ。彼はウェンディを抱き抱えたまま、地面に綺麗に着地した。
「カミューニさん!!だいーーー」
心配して声が大きくなってしまったウェンディの口をすぐに塞ぐ。
「気にすんな・・・それよりも・・・」
一夜、ジェラールと続けて彼の周囲に着地すると、すぐさま二人の怪物を覗き見る。
「ここを離れた方が・・・いいよな?」
岩の影で死角になっているとはいえ、二人のぶつかり合いをこんな間近でやられては何が起こるかわからない。
「メェーン。しかし、どうやって離れるんだい?」
「ここからじゃ、奴等に丸見えになってしまう」
隠れながら進んで行きたいが、荒野なこともあり身を隠せる場所が少ない。
「お互いに集中しているだろうから俺たちに気付かない気もするが・・・静かにいくか」
ジェラールの魔法でひとっ飛びもありだが、万一バレると撃墜される。彼らは静かに身を潜めながらその場を離れようとしたが、小さな少女は空を見上げたまま微動だにしない。
「ウェンディ。何してるんだ」
「ウェンディちゃん?空に何かあるのかい?」
彼らも空を見上げるが、そこには何も見えない。それでも彼女はそこから微動だにせず、ただ、黙して動かない。
「・・・シリル?」
最愛の少年の気配を感じ取っていた少女は、無意識にその名を呟いていたのだった。
ヨロヨロとゼレフの元へと歩み寄るメイビス。体から放たれていた輝きが完全に消え失せたゼレフは、漏れるような声で話し始める。
「体が・・・全く・・・動かない・・・僕は・・・負けたのかな・・・」
初めての敗北・・・今までにない感覚に何をすることもできないゼレフ。ただ、それでも彼はまだ諦めていなかった。
「すごいなぁ・・・ナツは・・・でも・・・甘いよ・・・僕は何度でも蘇る・・・この傷は数分もあれば完治するんだ」
「ゼレフ・・・」
不老不死であるゼレフは死ぬことはない。だからこそ今回の悲惨な戦いを起こすことになってしまったのだ。
「あなたが私の仲間たちを苦しめ傷付けたこと・・・私は絶対に許すことができません」
傷が少しずつ回復していくゼレフに対し、メイビスは静かな声で語りかけた。
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