File2−精霊のカード
ターン9 破滅導く魔性の微笑み
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廃業して、今残ってるのは外側だけだったはずだ。そのうち取り壊すとは言ってたが、今はまだ次の施設も決まってないから残ってる。アタシも行ったことあるけど、あの辺は人も少ないんだよな……おいちょっと待て、なんでそこで目ぇ剥いてんだ」
「いや、糸巻さん本とか読むんすね」
「どーいう意味だコラ。読んでたのは大体漫画だけどな」
じろりと睨みつけるも、まあいいと首を横に振る。
「それより、女の子ってのが最高に面倒だな。どう頑張っても気が滅入る話にしかならなさそうだし、八卦ちゃんには悪いが聞かせられないなこりゃ」
「え、どういう……?」
「なんだお前、デュエルポリス入るときに研修受けてこなかったのか?じゃあヒントだ。13年前と今を比べた時に一番衰退したのはデュエル産業だが、その次に落ちぶれた産業はなーんだ?」
「え?あー、ああ……」
やりきれないといった表情を隠そうともせず煙草に火をつける糸巻に、遅ればせながら得心のいった鳥居が同じようなしかめっ面でゆっくりとうなずいた。
あえてどちらも明言を避けた今のクイズの答えは、性産業……それはまさに、人間の業の深さを全面に表したような話だ。異形のモンスターや無機物も数多く存在するデュエルモンスターズだが、少し視線を横に向ければいわゆる美少女モンスターも数多く存在する。そしてそれが「BV」を使えば、質量を持った存在として実体化する。
肉体こそ実体化しているものの物言わぬ彼女たち、あるいは彼らは「その手」の病気感染やそういった施設を利用したとの話を漏らされるリスクとも無縁であり、それは「BV」黎明期におけるテロリストたちの有力な資金源であった。かつてのプロリーグトップともなれば政界や財界へのパイプも当然持ち合わせており、腐りきった欲望はそのパイプをとめどなく汚い金と共に流れていく。
だからデュエルポリスの間では現在でも、その産業へ真っ先に目をつけて最優先で踏み込んだからこそ今日に至るまでのテロ活動が少なくとも資金面ではスムーズに行われているのだとまことしやかに語られているのだ。
「アタシらの目が届きにくい、しかも人気のない場所……つまりは、そういうことだろうな。ったく、気が滅入る話だ」
「……なんつーかこれ、心底やってらんない話っすね」
「ああ、同感だ。だからアタシは、この仕事は嫌いなんだ。どう頑張っても、ただデュエルして勝てばいいスカッと終わる話にはならない。そんな事案から目を逸らせないからな」
「俺も、後味悪い悲劇よかハッピーエンドの方が好きなんすよ。特にこーいう生々しいのは趣味に合わないです。一部に熱狂的なファンはつくんですけど、やっぱ一般受け悪いんすよね」
うんざりしたようなため息を2人同時につき、諦めたように立ち上がってそれぞれが動き出す。糸巻
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