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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
File2−精霊のカード
ターン9 破滅導く魔性の微笑み
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これを見てください、お姉様!」

 横に置いてあったバッグを開き、教科書やノートの中から1枚の紙を引っ張り出して机の上に広げる八卦。そこに描かれた手書きと思しき家紋町の地図には、東端のあたりにいくつもの赤い点と小さな文字で日付が書きこまれていた。後ろからどれどれと覗き込んだ鳥居が日付に目を通し、ふむと小さく唸る。

「日時はここ一か月前から、場所もおおむね同じあたり……でも、なんで幽霊?ソリッドビジョンの線は?」
「はい、鳥居さん。私も最初はそう思ったんですけど。でもなんでもこの幽霊さん、物に触ることができるらしいんです!怖がって投げつけられた石がぶつかったと思ったら飛んで逃げていったとか、そういう話が多いんですよ」
「実体があって……」
「飛んで逃げた……?」

 ここで、糸巻と鳥居の表情が変わる。2人のデュエルポリスは、全く同じことを考えていた。これは、自分たちの仕事案件ではないかと。
 まだ幼く実際に「BV」を見たことのない八卦の思考回路は、このぐらいの年ごろの子供にはさぞ魅力的であろう幽霊という言葉にすっかり心奪われておりまだその可能性には至っていない。興奮したままにまくしたてる少女がそれに気が付かなかったのは、果たして不幸か幸いか。ともあれ、やや姿勢を正して糸巻が問う。

「……なあ、八卦ちゃん。その幽霊、どんな格好だったかとかは聞いてきたかい?女の子ってこと以外にさ」
「はい、お姉様!空に浮かんでいたとか足を動かさずに動いていたとか体全体がほんの少し光っていたとか……とにかく、小さな女の子らしいですよ」
「要するにあれか、恰好まではわからないってか。わかった、ありがとな。それはそうとそろそろ家に帰らないと、七宝寺の爺さんも心配するんじゃないか?」
「そうそう。幽霊騒ぎはこっちでも調べてみるけど、今日はもう帰った方がいいよ」

 時計を振り返りながらさりげなく発した糸巻の言葉に、鳥居が素早く真意を察して同意する。しぶしぶ時計を見てそうですね、とうなずいた少女が、座っていた椅子から立ち上がる。

「あ、ちょい待ち。この地図、置いてってもらっても構わないか?」
「はいお姉様、実はもうコピーもとってあるので大丈夫ですよ。では、今日もお邪魔しました!」

 別れの言葉と共に少女が退出してからたっぷり1分間、何かの拍子に戻ってくるようなことがないか時間を置く。改めてこの場に残された手書きの地図を見下ろした2人の顔は、すっかり真剣そのものだった。

「糸巻さん、この辺って何がありましたっけ」

 最初に口火を切った鳥居が、件の幽霊の目撃情報が特に集中している箇所に指を置く。現在地である彼らの事務所は町の東に広がる海に近く、大量の赤い点が配置された西の一角とはあまり縁がない。

「図書館だな。半年ぐらい前に
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