暗剣忍ばす弑逆の儀 (中)
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めた。
「やめろ」
呂布だった。戦士の腕を掴み、止めている。
「母の大事な資源だ。無用に傷をつけるな。……やめろと言って分からんか、愚図が」
止められてなお離せと暴れ、シロウに殴りかかろうとするのをやめない戦士に、優しい制止は一度だけだと言わんばかりに呂布は戦士の首を大きな掌で握り、そのまま握り潰した。
顔をトマトのように真っ赤にして、血管を浮かび上がらせて、骨の砕け折れる音が生々しく響く。死体は消えた。捕虜の人間達が悲鳴を上げて檻の際まで一気に下がった。軽い錯乱状態だ。呂布は「ふん」と下らなさそうに鼻を鳴らす。
「母の命だ。八体ほど連れて行け」
無双の武人が他の戦士に命じる。八人か……シロウは血の混じった唾を戦士に吐きつける。するとシロウは腕を掴まれ檻の中から引きずり出された。
他の七人も部下だ。進んで出た。連行されて行きながら、シロウは考える。八人、この数の意味はあるのか? と。特になんの意味もないように思えるが。
「ああ、そうだ」
今度は別のサーヴァントだ。真名が不明の青年である。彼はシロウらを見渡し、笑みを湛えながら言う。
「呂布。ソイツらは特別活きがいいみたいだ。面倒な事をされてはかなわない、キミがついていってくれないかな?」
「……こんな雑魚どもを、この俺に見張れだと? 指図するとは何様のつもりだ、《ペルセウス》」
「兄の頼みだよ。聞いてくれないかい?」
「……ふん。貸しにしてやる」
「はいはい」
――ペルセウスだと?
思わず舌打ちしてしまいそうになる。何から何まで厄介なサーヴァントばかりではないか。
呂布は戦士達に囲まれたシロウらを連行していく。向かうはメイヴの膝元である。
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