暗剣忍ばす弑逆の儀 (中)
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る事でもある。デメリットは隙なんか生まれず時間を無駄にするだけの確率も高く、行動しない事によって状況が悪化する可能性がある事だ。
可能性、確率。そんな曖昧なものに頼ってばかりの選択肢。運に頼ったもので、お世辞にも幸多き人生を歩んできていないシロウが執るべきではない。この期に及んで運頼みなど愚の骨頂。深刻化する可能性まであるのだから尚更である。
運とは巡ってくるのを待つものに非ず。自ら行動し掴み取るべきものだ。神は自らを助くる者を助く、勝利の女神は自ら動くものを愛するともいう。流れを引き寄せるにはただ只管に行動あるのみ。
つまりこの牢に捕虜を引っ立てに来るケルト戦士かサーヴァントに、自分から生け贄に立候補して捕まりに行くべきである。メイヴの許へ案内させると考えれば楽なものだ。わざわざ探し回る手間が省ける。
当然こちらにもデメリットはある。直接的な脅威度としては高い。何せメイヴの近くにはサーヴァントがいるだろうからだ。身辺の警護を大量にいるサーヴァントにさせないはずがない。暗殺者の手合いを警戒するのは王にとって当然の措置だ。それにメイヴ自身がサーヴァントである。対峙したからと素直に首を差し出してくれる訳でもない。確実に一波乱ある。それに万が一しくじれば、こちらが助かる見込みは限りなく零となるだろう。
今更だ。そんな鉄火場など、数え切れないほど乗り越えてきた。
「……来たな。お前達も付いて来い。なるべく纏まって行動するぞ。もし引き離された場合、何処かから大規模な爆発が起こったら作戦開始の合図だと思え」
「了解。地獄の底までお供しますよ、BOSS」
部下達の肝も座っている。何も問題はない。
ケルト戦士が十人ほど牢に寄っていく。こちらではなく、反対側の檻にだ。シロウは大声で喚いた。糞野郎、玉無しの狗、品性の欠片もない野蛮人、脳味噌まで筋肉で出来ているくせに群れなきゃ何も出来ない雑魚野郎ども……とにかく口汚く罵る。
部下達もアメリカンな罵倒話術の片鱗を覗かせる悪罵を放ち始めていた。教えていたブーイングまで使いこなす辺り、国家としては成立していないが、やはりアメリカ人なんだなとそんな場合ではないのに感慨深くなる。
ケルト戦士はこめかみに青筋を浮かべ、怒りの形相で足音を立てて近づいてくる。敵サーヴァント達は可笑しそうに見ている。どうやら言語自体は普通に認識してくれるらしい。虫けらと見下しているからこそ、罵倒の類いが我慢ならないのが三下なんだと、ケルト戦士に嘲笑を浴びせる。
荒々しく檻が開かれた。腕を掴まれ、ヘッドパットを食らう。額が割れ血が流れた。石頭な奴……。鼻を鳴らすと拳で顔面を殴り抜かれ吹き飛んだ。部下達が支えてくれる。顔を真っ赤にして怒り狂う戦士が、更に殴りかかって来ようとするのを、サーヴァントが止
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